親族間の不動産売買では、みなし贈与に注意して適正価格で取引しよう!

適正価格とは
目次

親族間の不動産売買における適正価格

不動産の親族間売買自体は法的にも、道徳的にも何ら問題ありません。
ただ注意しないといけない事は他人間の不動産売買より有るかもせれないのです。

実は親族間売買においては、適正価格の設定が非常に重要です。
適正価格とは、売主と買主の双方が納得できる価格なのですが、日本では税方面も納得させないといけないのです。

ここでは、親族間の不動産売買するときの適正価格と決め方、みなし贈与とされないために売買取引時に気を付ける注意点とその解決法を親族間売買の専門家の井上朝陽が解説していきます。

解説者
井上朝陽
宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー
専修大学商学部卒業後コーラル株式会社入社。
渋谷青山店勤務後本店マーケティング&セールス部チームへ配属。
また不動産売買はすでに500件以上、親族間売買では300件以上を経験。
現在、親族間売買の専門家として多くの家族間の悩みを持った方の解決に奔走中です。
なお、専門家としての使命から、少々解説が長くなりますから、読むのが苦手な方はYouTube動画でも解説しています。
そちらで確認いただけたらと存じます。

なおコーラルは、親族間の不動産売買時は仲介手数料を最大80%割引して承っております。
詳細は、コーラルの親族間売買時仲介手数料プランにて解説しております。

親族間売買とは

親族間売買とは、家族や親族同士で不動産の売買を行うことを指します。

親族の範囲は民法第725条では、6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族と定義されています。

具体的には親と子、兄弟姉妹、祖父と孫など親族(血族と姻族)との間での行う取引を言い、基本的には個人対個人で不動産取引する個人間売買(通常の不動産売買)と大きくは変わりません。

この取引の特徴は、信頼関係が築かれているため、通常の不動産取引と比べてゆったりとした交渉ができる点です。

ただ、この親族間売買は一般的な不動産売買(個人間売買)とは違い、売買するにおいての適正価格の設定次第で大きな問題となることがあります。また適正価格だけではなく押さえるべき注意点も有り、解決して売買しないと後に痛い目に合う事になります。


親族間での売買は、通常の市場価格と異なる価格設定を行いただくことが可能ですが、注意が必要です。適正価格を無視した場合、後でトラブルの原因となることもあります。さらに、税務署からみなし贈与税が行われたとされ課税されたり法律面での影響も考える必要があります。

そのため、事前に十分な情報収集を行い、適正価格の設定を行うことが重要です。適切な価格設定を通じて、親族間の良好な関係を保ちつつ、スムーズな取引が実現できます。

尚、みなし贈与については、相続税法第7条で次のように定められています。

相続税法

(贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合)

第7条 著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
(以下省略)

引用元:e-Gov法令検索 相続税法

適正価格は時価のおおよそ80%が目安

不動産を親族間で売買するとき、その価格は当事者間の自由で決めることはよくあります。ただ著しく低い価格では税務署がその差額に贈与があったとして贈与税をかけてきます(みなし贈与)。ゆえに売買価格は、みなし贈与とされない価格として時価の80%とすることが望ましいとされます。

なぜ80%とするのか、それは、「東京地判平成19年8月23日(行ウ)第562号」の裁判判例が根拠になっています。

この裁判では、市場相場のおよそ80%で親族へ売買した不動産が、市場相場よりも著しく低い価格に該当するかどうかが納税者(親族間売買の買主)と税務署の間で争点となっていました。
判決は「市場相場の80%は著しく低い割合とは言えない」として、納税者が勝訴しました。

この判決に対して原告が控訴しなかったため、判決が確定し、80%が適正価格の根拠として認識されるようになったのです。

親族間売買の適正価格の設定方法について

親族間売買での適正価格は、一般的に市場価格やその物件の実勢価格に基づいて決定されます。まず、周辺の類似物件を調査し、相場を把握することが重要です。これにより、売買が公平で透明性のあるものとなります。

また、物件の状態や立地条件も考慮に入れなければなりません。老朽化やリフォームの必要がある場合は、その分を差し引いて価格を設定することが望ましいです。親族間だからといって、過度な値引きや高額設定は避け、相手への配慮も忘れないようにしましょう。

最後に、適正価格を決める際には、必要に応じて不動産の専門家に相談することをお勧めします。このことが信頼関係を築く助けとなりますし、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。

時価(市場相場)を基準とした価格設定

市場相場を基準とした価格設定は、親族間売買においてとても重要です。適正価格を決定するためには、まず周辺の類似物件の販売価格を調査しましょう。地域の不動産市場の動向を把握することで、現実的な価格を見極めることができます。

また、査定サービスを利用するのも一つの方法です。専門家による的確な査定を受けることで、安心して価格設定を行うことができます。親族間であっても、相場に基づいた価格を設定することにより、後々のトラブルを防ぐことができ、信頼関係を維持することが可能になります。

適正な市場相場を基本にした価格設定は、双方にとって納得のいく取引となるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

固定資産税評価額の活用

固定資産税評価額は、親族間売買における適正価格設定に役立つ重要な指標です。これは、自治体が不動産の価値を評価し、固定資産税を課すために用いられる価格です。

まず、固定資産税評価額を確認することから始めましょう。この評価額は、一般的に市場価格よりも低めに設定されていますが、基準として利用することができます。特に、物件の状態や特別な事情がない場合には、有力な参考になるでしょう。

ただし、この評価額だけで決定するのではなく、市場価格や周辺の物件との比較も忘れずに行うことが大切です。固定資産税評価額を活用しつつ、他の要素も考慮することで、公平な取引が実現できるでしょう。

みなし贈与を避けるための基準

親族間売買において、みなし贈与を避けるためには、適正価格設定が欠かせません。市場価格や査定額と比較して、適正な価格で取引を行うことが重要です。これにより、税務上の問題を回避できます。

具体的には、近隣の類似物件の取引価格やプロの不動産業者の意見を参考にしましょう。また、物件の状態や相場を踏まえた上での価格設定も不可欠です。

さらに、契約内容や価格についてしっかりと文書化し、双方が納得した証拠を残すことも重要です。このような対応をすることで、後々のトラブルや税金問題を未然に防ぐことが可能です。

みなし贈与にならない価格設定方法とは

コーラルが税務署がみなし贈与の根拠としているのは相続税法7条になります。
この条項は、‘みなし贈与’の規定と言われ、著しく低い対価で財産の譲渡を受けた場合、譲受人は、その(著しく低い)対価と譲渡時のその時価との差額を譲渡人から贈与されたとみなす、という規定です。
そうみなされると、当該差額のうち110万円(基礎控除)を超える部分につき、譲受人に贈与税の申告・納税義務が生じます。対価が時価より低くても、著しく低くなければよいのですが、対価が著しく低いか否かの判定に当たり、当該財産の時価の把握がまず必要なのです。

これが解決策!①
ゆえに、税務署に、みなし贈与とされないためには、親族間だからこそ適正価格で取引するしかありません。
例えば、親族間ではない第三者間で売買した不動産取引でも、場合によってはみなし贈与とされるケースがありますが、まずはっきりしている事は親族間で適正価格より低い価格で売買したときは間違いなくみなし贈与とされます。

したがって、売買する前に不動産業者で相場を確認したり、ときには不動産鑑定士に鑑定依頼したりしておくことが大切です。
ただ、余程広大な土地や、複雑な関係になっている物件でない限り不動産鑑定士の有料鑑定書(不動産鑑定評価書)は必要ないでしょう。
親族間売買に慣れた、また親族間売買の経験数の多い不動産業者の査定で十分足りますが、しかし、どうしても気になる方は不動産一括査定サイトで数社の査定書を取得されていれば尚更良いとは思います。

ちなみに不動産一括査定サイトはホームホーユーがおススメです。

ただ、不動産一括査定サイトの査定価格は高い傾向になり、そこまで高額で売買することも有りませんから、必ず親族間売買を仲介依頼する不動産会社の価格意見は聞いておきましょう。

当社コーラルが、適正価格(時価)を設定する方法は、以下の通りです。

不動産の適正価格を決める方法

◎一戸建て(土地・建物)は、路線価・固定資産税評価額・公示地価・実勢価格を参考に決める

路線価を国税庁のHP見て確認し、また不動産の固定資産評価証明書を取得したり、その他公示地価・実勢価格などを参考にして価格決定しています。

国税庁HPでは、毎年の路線価図を公表し、該当の土地についてその前面道路の価格を発表しています。
国税庁にアクセスし住所を入力すると、無料で該当不動産の価値を知ることができます。
ただ、土地前面道路に価格が設定されていないところも多々あります。その時は固定資産税額を国税庁が予め設定し発表した倍率がありますので、それを乗じて割り出す必要があり価格を割り出しています。

◎マンション(区分所有建物)は、取引事例比較法で決める

該当マンションの直近成約事例及び査定時販売中事例や、当マンションと比較的条件の近いマンションの成約事例と査定時販売中事例、および同地区過去1年間のマンション成約事例及び査定時販売中事例を基に決めます。

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特殊事情の場合の適正価格の決め方

売買対象地が再建不可の土地で有ったり、既存不適格建築物が建つ土地建物物件、何千坪もあるような広大な土地、複雑な関係になっている物件など、または売買取引する不動産に特殊事情がある場合は、上記公的指標額では求められない場合があります。そんな時は不動産鑑定士に鑑定評価額(鑑定評価書)の作成を依頼した方が良いでしょう。

鑑定評価額とは、不動産の効用(収益性・利便性・快適性)、不動産の相対的希少性(再構築の際の費用性)、不動産似対する有効需要(いくらで取引されているかの市場性)の三面性に基づいて分析することで求められるので、税務署もこの鑑定評価書は有益と考えている場合が多いのです。

なお、

親族間売買のリスクと注意点

親族間売買には多くのメリットがありますが、同時にリスクや注意点も存在します。まず第一に、価格設定が不適切であった場合、トラブルに発展することがあります。特に、相場よりも著しく低い価格での売買は、他の親族からの不満を招く恐れがあります。

また、信頼関係があるからこそ、契約内容についての理解不足や誤解が生じることもあるため、専門家に相談することをお勧めします。

さらに、税金や相続の観点からも注意が必要です。贈与税や譲渡所得税が絡む場合、事前に情報を収集し、適切な手続きを踏むことが重要です。親族間でのスムーズな取引を実現するためには、これらのリスクを理解し、適切に対処することが求められます。

みなし贈与のリスク

親族間で不動産を売買する際、みなし贈与のリスクについて理解しておくことが重要です。みなし贈与とは、実際の売買価格が適正価格よりも低い場合に、差額分が贈与とみなされることを指します。

たとえば、相場価格が1,000万円の物件を700万円で売買した場合、差額の300万円が贈与と見なされ、贈与税の対象となります。このような場合、売主だけでなく買主にも税負担が生じる可能性があるため、注意が必要です。

適切な価格設定や専門家への相談は、これらのリスクを軽減するために有効な手段となります。しっかりとした準備を行い、みなし贈与のリスクを減らすことが賢明な選択です。親族間でのトラブルを避け、円満な取引を実現するために、慎重に検討しましょう。

住宅ローンの課題

住宅ローンは親族間売買において、特に注意が必要な要素の一つです。一般的な不動産売買と異なり、親族間での取引では金融機関のローン条件が変わることがあるため、事前にしっかりとした確認が求められます。

例えば、金融機関によっては、親族間取引におけるローン審査が厳しくなる場合があります。また、親族からの贈与とみなされることがあるため、贈与税が発生するリスクも考慮しなければなりません。

このように、住宅ローンの課題を理解していないと、後々大きな経済的負担を抱えることになってしまいます。したがって、取引前には専門の金融機関や税理士に相談し、しっかりと対策を練ることが重要です。

親族間売買の具体的な手続き

親族間売買の具体的な手続きについてご紹介いたします。まず、売主と買主が物件の売買契約について合意を形成します。この際、適正価格を設定した上で価格や取引条件を明確にすることが重要です。

次に、契約書の作成になります。契約書には物件の詳細や価格、引き渡し日などを具体的に記載します。署名捺印も忘れずに行いましょう。

さらに、必要書類の準備が求められます。登記簿謄本や固定資産税納税通知書、本人確認書類など、必要な書類を整えます。

最後に、不動産登記を行うことで、売買が正式に完了します。これにより、所有権が買主に移転することになります。全体の流れをしっかり理解し、手続きを進めていくことが大切です。

必要な書類

親族間売買を行う際には、いくつかの必要書類があります。まず、登記簿謄本です。この書類は、物件の現在の所有者や権利関係を確認するために必要です。登記所で簡単に取得が可能です。

次に、固定資産税納税通知書があります。この書類には、物件にかかる税金の情報が記載されており、売買価格の参考になります。

また、本人確認書類も必要です。売主と買主それぞれの運転免許証やマイナンバーカードなどの書類を用意しましょう。これにより、取引の信頼性が高まります。

最後に、売買契約書や譲渡証明書も準備が必要です。これらの書類をしっかり整えることで、スムーズな取引が可能となります。

契約書の作成方法

契約書の作成方法についてご説明いたします。まず、契約書には物件の基本情報を明記することが重要です。これは、物件の所在地や面積、登記簿情報などを含みます。

次に、売買価格や支払い方法を具体的に記載します。購入代金の金額や、支払いのタイミング、手数料についても明確にすることが大切です。

契約書にはまた、引き渡し日や物件の状態に関する取り決めも含めます。これは、物件がどのような状態で引き渡されるのかを示す部分です。

最後に、売主と買主双方の署名・捺印が必要です。これにより、契約が成立し、法律上の効力を持つことになります。しっかりとした契約書を作成することで、後のトラブルを防ぐことができるでしょう。

引き渡しと名義変更

引き渡しと名義変更は、親族間売買において非常に重要なステップです。まず、物件の引き渡しが行われる際、売主は買主に対して物件の鍵や必要書類を渡します。これによって、物件の実質的な管理権が買主に移ります。

次に、名義変更の手続きに移ります。名義変更を行うことで、不動産の登記簿上の所有者が正式に変更されます。この手続きには、登記申請書や契約書、本人確認書類などが必要です。

名義変更は、法務局で手続きを行います。手続きが完了すると、買主は法的にその不動産の所有者となり、安心して利用することができるようになります。この流れをしっかりと理解して進めることが大切です。

親族間売買にかかる税金

親族間売買で注意が必要なのが、税金の問題です。特に、売買が行われる際にはさまざまな税金が発生します。代表的なものとしては、譲渡所得税や贈与税、登録免許税、固定資産税、印紙税などがあります。

譲渡所得税は親族間の不動産売買でも売主が売却益を得た場合は課税されます。

不動産の譲渡所得税は長期譲渡所得か短期譲渡所得かにより税率が異なり、他の所得とは区分して税額を計算します。

長期譲渡所得

不動産を売却した年の1月1日時点でその不動産の所有期間が5年を超えていた場合は、売却益は長期譲渡所得となります。

税率は、下記のとおりです。

● 不動産長期譲渡所得に対する税率:20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)

なお、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていた場合は、長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について軽減税率を適用することができます。ただし、親族間売買では適用できない場合があります。

● 不動産長期譲渡所得に対する軽減税率:14.21%(所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%)

短期譲渡所得

不動産を売却した年の1月1日時点でその不動産の所有期間が5年以下の場合は、売却益は短期譲渡所得となります。

税率は、下記のとおりです。

● 不動産短期譲渡所得に対する税率:39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)


譲渡所得税は、売主が物件を売って得た利益に対して課される税金です。一方、贈与税は、親族から不動産を無償で受け取った場合に発生します。このため、親族間での取引でも価格設定が重要となります。

また、登録免許税や不動産取得税も考慮する必要があります。

登録免許税

不動産の名義変更(所有権移転登記)や抵当権の設定、抹消の登記には登録免許税がかかります。

所有権移転登記

売買した不動産の名義を変更するには、所有権移転登記を行います。

所有権移転登記の登録免許税の税額は、下記のとおりです。

  • 土地:固定資産税評価額の1.5%(軽減措置)
  • 建物:固定資産税評価額の2.0%(住宅用家屋は軽減措置により固定資産税評価額の0.3%)

住宅用家屋については登録免許税が軽減されますが、対象となる家屋には一定の要件があります。さらに、適用を受ける場合は市町村が発行する「住宅用家屋証明書」が必要です。

抵当権設定登記

買主が住宅ローンを利用する場合は、住宅を担保にする抵当権設定登記が必要です。

抵当権設定登記の登録免許税の税額は、原則として固定資産税評価額の0.4%ですが、住宅ローンについては軽減措置により固定資産税評価額の0.1%となります。

抵当権抹消登記

売主が抵当権抹消登記をする場合にも登録免許税がかかります。

税額は、不動産1件ごとに1,000円です。土地付きの建物は2件として数えます。なお一度に20件以上申請する場合は一律2万円となります。

適正価格での売買を行うことで、これらの税金の負担を軽減できる可能性がありますので事前に税理士などの専門家に相談することもおすすめです。

贈与税

贈与税は、親族間で不動産を無償で譲渡する際に注意すべき税金の一つです。特に、相続税対策として贈与を行う場合にも、この税金が絡んできます。贈与税は、年間に110万円を超える贈与に対して課されるため、適正価格を設定することが大切です。

贈与を行った場合、その評価額が110万円を超えると、超過分に対して贈与税がかかります。具体的には、贈与税は課税対象の金額に応じて税率が異なるため、事前のシミュレーションを行うことが推奨されます。

親族間の取引は、信頼関係があっても、税法上のルールを遵守することが大切です。誤解を避けるためにも、専門家に相談することが賢明です。

固定資産税

親族間売買において、固定資産税の存在も無視できません。固定資産税は、不動産を所有している限り毎年支払う必要があります。この税金は、物件の評価額に基づいて計算されます。

売買後に新たに購入者が固定資産税を納付することになりますが、これは物件の評価額や所在地によって異なります。親族から受け取った物件に対して、どの程度の固定資産税がかかるのか事前に確認しておくことが大切です。

また、親族間の取引では、物件の評価を適正に行うことが難しい場合があります。そのため、固定資産税の負担を考慮した価格設定を行うことが重要です。

印紙税

不動産売買契約書は、印紙税の課税対象になります。印紙税は、通常売主と買主で折半して負担します。税額は契約書に記載された売買金額に応じて定められ、その金額の収入印紙を契約書に貼付します。なお、不動産の譲渡に関する契約書のうち令和9年3月31日までに作成されるものについては、印紙税が軽減されています。

軽減後の税額は、下記のとおりです。

(参照元:国税庁ホームページ
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置)

その他の税金

親族間売買にかかる税金には、譲渡所得税や贈与税に加えて、その他にも注意が必要な税金が存在します。例えば、登録免許税は、不動産の名義変更を行う際に発生します。これは売買価格の数パーセントが課税されるため、相当な額になることがあります。

また、不動産取得税は、土地や建物を購入した際に課せられる税金です。こちらも、物件の価格や面積に応じて額が変わりますので、事前の確認が必要です。

不動産取得税の税額は、下記のとおりです。

  • 土地、住宅用の建物:固定資産税評価額の3.0%(軽減措置)
  • 店舗・事務所など住宅以外の建物:固定資産税評価額の4.0%

宅地の不動産取得税は、軽減措置により固定資産税評価額の2分の1の金額に税率(3.0%)をかけた金額となります。なお住宅を取得したときは、税額がさらに軽減される場合がありますので詳細は都道府県のホームページなどで確認してください。



さらに、場合によっては、消費税が発生することもあります。特に法人から物件を購入する場合、消費税が関係することがあるため留意することが大切です。これらの税金について理解を深め、計画的な資金繰りを行うことをおすすめします。

親族間売買を成功させるポイント

親族間売買を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、売買条件や価格について事前にしっかりと話し合うことが基盤となります。これにより、双方の考えを理解し合い、納得のいく合意形成が可能となります。

次に、専門家の意見を参考にすることも大切です。不動産業者や税理士に相談することで、適正価格の設定や税負担についてのアドバイスを受けられます。

最後に、契約書を事前に作成し、しっかりとサインを交わすことをお勧めします。口頭での約束は後々トラブルの元になるため、文書での確認が重要です。このように事前の準備を行うことで、円滑な売買が実現できるでしょう。

専門家の活用

親族間売買を行う際、専門家の活用は非常に重要です。まず、不動産業者に依頼することで、適正価格の査定を行ってもらうことができます。市場に詳しい彼らの意見は、価格設定の大きな助けとなります。

さらに、税理士に相談することで、売買に伴う税金の影響を把握することができます。特に相続や贈与に関わる場合、どのような税負担があるのかを理解しておくことで、将来的なトラブルを避けることが可能です。

専門家の協力を得ることで、売買がスムーズに進むだけでなく、法的な問題を未然に防ぐこともできます。信頼できる専門家を探し、その知識をしっかりと活用することをお勧めします。

詳細な価格設定の方法

詳細な価格設定を行うためには、まず周辺地域の不動産市場をリサーチすることが重要です。近隣で同様の物件がどのような価格で取引されているのか、実際の売買事例を参考にしましょう。

次に、物件の特性を細かく分析します。例えば、立地や面積、築年数、内部の状態などが価格に大きな影響を与えます。特に、リフォームや修繕が必要な場合、そのコストも考慮に入れるべきです。

また、適正価格を算出する際には、第三者の視点を重視します。不動産鑑定士や専門家による査定を受けることで、客観的な評価が得られ、適切な価格設定が実現可能です。これにより、双方の信頼関係の構築にもつながるでしょう。

まとめ

親族間売買において適正価格を設定することは、簡単なようで難しい面もあります。まずは市場の動向をしっかりと把握し、周辺の類似物件と比較することが基本です。これにより、適切な価格帯を掴むことができるでしょう。さらに、物件の状態や特性を見極めることも重要です。

また、価格設定に当たっては、親族間での信頼関係を維持するための透明性が求められます。適正価格を基にした取引は、双方にとって満足のいく結果をもたらすでしょう。最終的には、親族間売買の成功は適正価格の設定にかかっていると言えるでしょう。

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