親族間の不動産売買と適正価格|みなし贈与を回避する方法

親族間の不動産売買において最重要な事は、適正価格の設定です。
適正価格を間違え、売買すると、国税庁(税務署)から売買と同時にみなし贈与が有ったとされ、予定していない贈与税の納税が課される事態に陥る可能性があるのです。

適正価格とは、売主と買主の双方が納得できる価格なのですが、日本では税方面も納得させないといけません。税方面とは国税庁(税務署)を指しますが、もし売買価格を適正価格とせず売買完了してしまうと税務署から「売買と同時に贈与があったとみなされる(これをみなし贈与という)」認定され余計な納税の義務まで背負うことになるのですから。

ここでは、親族間の不動産売買するときの適正価格と決め方、みなし贈与とされないために売買取引時に気を付ける注意点とその解決法を親族間売買の専門家(宅地建物取引士兼親族間売買上級アドバイザー)の井上朝陽が解説していきます。

目次

親族間売買時の適正価格の求め方【YouTube動画で解説シリーズ】

ここでは、不動産の親族間売買時の適正価格の有り方、計算法を宅地建物取引士兼親族間売買上級アドバイザーの井上朝陽が解説動画しています。ぜひご覧ください(^▽^)/

親族間の不動産売買の適正価格とは⁉【親族間売買だからこそ、余計に迷ってしまう売買金額、一体どうやって決めればいいの?】

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親族間売買とは

親族間売買とは、家族や親族同士で不動産の売買を行うことを指します。

親族の範囲は民法第725条では、6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族と定義されています。

具体的には親と子、兄弟姉妹、祖父と孫など親族(血族と姻族)との間での行う取引を言い、基本的には個人対個人で不動産取引する個人間売買(通常の不動産売買)と大きくは変わりません。

この取引の特徴は、信頼関係が築かれているため、通常の不動産取引と比べてゆったりとした交渉ができる点です。

ただ、この親族間売買は一般的な不動産売買(個人間売買)とは違い、売買するにおいての適正価格の設定次第で大きな問題となることがあります。また適正価格だけではなく押さえるべき注意点も有り、解決して売買しないと後に痛い目に合う事になります。

適正価格とみなし贈与の関係


税務署は、親族間の売買について「本当に売買か」「価格が著しく低くないか」を見ます。判断の軸は、売買価格が時価と比べてどれほど離れているか、当事者の関係が近いか、代金の支払い実態があるか、契約書や送金記録が残っているか、という点です。安すぎる価格なら、その差額を贈与とみなされる可能性があります。相続税法7条がよく根拠に使われるのもこのためです。親族間の話だから大目に見られる、そんな期待は危険です。税務は案外、冷静に見ています。

そのため、事前に十分な情報収集を行い、適正価格の設定を行うことが重要です。適切な価格設定を通じて、親族間の良好な関係を保ちつつ、スムーズな取引が実現できます。

尚、みなし贈与については、相続税法第7条で次のように定められています。

相続税法

(贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合)

第7条 著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
(以下省略)

引用元:e-Gov法令検索 相続税法

親族間売買の適正価格の設定方法について

不動産を親族間で売買するとき、その価格は当事者間の自由で決めることはよくあります。ただ著しく低い価格では税務署がその差額に贈与があったとして贈与税をかけてきます(みなし贈与)。

適正価格は時価のおおよそ80%が目安

親族間で不動産売買するときの売買価格は、みなし贈与とされない価格として時価の80%とすることが望ましいとされます。

なぜ80%とするのか、それは、「東京地判平成19年8月23日(行ウ)第562号」の裁判判例が根拠になっています。

この裁判では、市場相場のおよそ80%で親族へ売買した不動産が、市場相場よりも著しく低い価格に該当するかどうかが納税者(親族間売買の買主)と税務署の間で争点となっていました。
判決は「市場相場の80%は著しく低い割合とは言えない」として、納税者が勝訴しました。

この判決に対して原告が控訴しなかったため、判決が確定し、80%が適正価格の根拠として認識されるようになったのです。

具体的な適正価格の決め方

親族間売買での適正価格は、一般的に市場価格やその物件の実勢価格に基づいて決定されます。まず、周辺の類似物件を調査し、相場を把握することが重要です。これにより、売買が公平で透明性のあるものとなります。

また、物件の状態や立地条件も考慮に入れなければなりません。老朽化やリフォームの必要がある場合は、その分を差し引いて価格を設定することが望ましいです。親族間だからといって、過度な値引きや高額設定は避け、相手への配慮も忘れないようにしましょう。

最後に、適正価格を決める際には、必要に応じて不動産の専門家に相談することをお勧めします。このことが信頼関係を築く助けとなりますし、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。

評価手法の比較

評価手法主な使いどころ長所短所
時価売買価格の基準実勢に近い根拠集めが必要
類似取引相場確認具体性がある条件差の調整が難しい
路線価土地評価の参考公開情報で使いやすい実勢価格より低めになりやすい
固定資産税評価額目安確認入手しやすい市場価格との乖離が大きい
鑑定評価客観証明説明力が高い費用がかかる

時価(市場相場)を基準とした価格設定

市場相場を基準とした価格設定は、親族間売買においてとても重要です。適正価格を決定するためには、まず周辺の類似物件の販売価格を調査しましょう。地域の不動産市場の動向を把握することで、現実的な価格を見極めることができます。

時価を確認するなら、売出事例、成約事例、近隣取引の3本柱で見るのが基本です。売出事例はポータルサイトで探しやすいものの、実際に売れた価格とは限りません。成約事例はレインズや媒介報告、担当者のヒアリングが参考になります。近隣取引は地域性を映しやすく、同じ駅でも差が出るのが不動産らしいところです。私はポータルだけで決めるのは危ないと感じます。見た目の相場と実勢は、意外とずれます。

市場データの集め方

確認先は、ポータルサイト、レインズ情報、過去の媒介報告、近隣の売買実例です。築年数、面積、駅距離、接道条件、再建築可否まで見ないと、数字はすぐにぼやけます。特に土地は、道路や用途地域の違いで価格差が大きくなります。似ている物件を3件以上集めて平均を見る、これだけでも精度は上がります。単価の高低だけを追わず、条件の差を言語化すること。ここが実務の要です。

また、不動産会社の査定サービスを利用するのも一つの方法です。専門家による的確な査定を受けることで、安心して価格設定を行うことができます。親族間であっても、相場に基づいた価格を設定することにより、後々のトラブルを防ぐことができ、信頼関係を維持することが可能になります。

適正な市場相場を基本にした価格設定は、双方にとって納得のいく取引となるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

固定資産税評価額の活用

固定資産税評価額は、親族間売買における適正価格設定に役立つ重要な指標です。これは、自治体が不動産の価値を評価し、固定資産税を課すために用いられる価格です。

まず、固定資産税評価額を確認することから始めましょう。この評価額は、一般的に市場価格よりも低めに設定されていますが、基準として利用することができます。特に、物件の状態や特別な事情がない場合には、有力な参考になるでしょう。

ただし、この評価額だけで決定するのではなく、市場価格や周辺の物件との比較も忘れずに行うことが大切です。固定資産税評価額を活用しつつ、他の要素も考慮することで、公平な取引が実現できるでしょう。

税務評価を使うときの注意点

固定資産税評価額は、課税明細書や評価証明書で確認できます。相続税評価額は、土地の形状や利用状況で変化します。建物は固定資産税評価額、土地は路線価や倍率方式、という見方が基本です。親族間売買で参考にするなら、あくまで市場相場との補助線と考えるべきです。税務評価が低いから安く売ってよい、という話ではありません。そこを取り違えると、かなり危ないです。

みなし贈与を避けるための基準

親族間売買において、みなし贈与を避けるためには、適正価格設定が欠かせません。市場価格や査定額と比較して、適正な価格で取引を行うことが重要です。これにより、税務上の問題を回避できます。

具体的には、近隣の類似物件の取引価格やプロの不動産業者の意見を参考にしましょう。また、物件の状態や相場を踏まえた上での価格設定も不可欠です。

さらに、契約内容や価格についてしっかりと文書化し、双方が納得した証拠を残すことも重要です。このような対応をすることで、後々のトラブルや税金問題を未然に防ぐことが可能です。

みなし贈与にならない価格設定方法とは

コーラルが税務署がみなし贈与の根拠としているのは相続税法7条になります。
この条項は、‘みなし贈与’の規定と言われ、著しく低い対価で財産の譲渡を受けた場合、譲受人は、その(著しく低い)対価と譲渡時のその時価との差額を譲渡人から贈与されたとみなす、という規定です。
そうみなされると、当該差額のうち110万円(基礎控除)を超える部分につき、譲受人に贈与税の申告・納税義務が生じます。対価が時価より低くても、著しく低くなければよいのですが、対価が著しく低いか否かの判定に当たり、当該財産の時価の把握がまず必要なのです。

これが解決策!①
ゆえに、税務署に、みなし贈与とされないためには、親族間だからこそ適正価格で取引するしかありません。
例えば、親族間ではない第三者間で売買した不動産取引でも、場合によってはみなし贈与とされるケースがありますが、まずはっきりしている事は親族間で適正価格より低い価格で売買したときは間違いなくみなし贈与とされます。

したがって、売買する前に不動産業者で相場を確認したり、ときには不動産鑑定士に鑑定依頼したりしておくことが大切です。
ただ、余程広大な土地や、複雑な関係になっている物件でない限り不動産鑑定士の有料鑑定書(不動産鑑定評価書)は必要ないでしょう。
親族間売買に慣れた、また親族間売買の経験数の多い不動産業者の査定で十分足りますが、しかし、どうしても気になる方は不動産一括査定サイトで数社の査定書を取得されていれば尚更良いとは思います。

ちなみに不動産一括査定サイトはホームホーユーがおススメです。

ただ、不動産一括査定サイトの査定価格は高い傾向になり、そこまで高額で売買することも有りませんから、必ず親族間売買を仲介依頼する不動産会社の価格意見は聞いておきましょう。

当社コーラルが、適正価格(時価)を設定する方法は、以下の通りです。

不動産の適正価格を決める方法

◎一戸建て(土地・建物)は、路線価・固定資産税評価額・公示地価・実勢価格を参考に決める

路線価を国税庁のHP見て確認し、また不動産の固定資産評価証明書を取得したり、その他公示地価・実勢価格などを参考にして価格決定しています。

国税庁HPでは、毎年の路線価図を公表し、該当の土地についてその前面道路の価格を発表しています。
国税庁にアクセスし住所を入力すると、無料で該当不動産の価値を知ることができます。
ただ、土地前面道路に価格が設定されていないところも多々あります。その時は固定資産税額を国税庁が予め設定し発表した倍率がありますので、それを乗じて割り出す必要があり価格を割り出しています。

◎マンション(区分所有建物)は、取引事例比較法で決める

該当マンションの直近成約事例及び査定時販売中事例や、当マンションと比較的条件の近いマンションの成約事例と査定時販売中事例、および同地区過去1年間のマンション成約事例及び査定時販売中事例を基に決めます。

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特殊事情の場合の適正価格の決め方

売買対象地が再建不可の土地で有ったり、既存不適格建築物が建つ土地建物物件、何千坪もあるような広大な土地、複雑な関係になっている物件など、または売買取引する不動産に特殊事情がある場合は、上記公的指標額では求められない場合があります。そんな時は不動産鑑定士に鑑定評価額(鑑定評価書)の作成を依頼した方が良いでしょう。

鑑定評価額とは、不動産の効用(収益性・利便性・快適性)、不動産の相対的希少性(再構築の際の費用性)、不動産似対する有効需要(いくらで取引されているかの市場性)の三面性に基づいて分析することで求められるので、税務署もこの鑑定評価書は有益と考えている場合が多いのです。

銀行融資基準から見た価格の妥当性(融資を受ける際の注意)

親族間売買で住宅ローンを使うなら、銀行の見方も外せません。銀行は価格だけでなく、担保価値、返済能力、取引の透明性を見ています。LTV(ローントゥバリュー)、つまり融資額が担保評価に対してどのくらいかも重要です。親族間取引は、相場より高すぎても低すぎても嫌われやすい。高すぎれば担保不足、低すぎれば取引実態の説明が難しくなる。ここ、かなりシビアです。

※LTVは「Loan to Value」の略で、物件価格に対する借入額の割合を示す指標

融資を通しやすくする価格設定

銀行に通しやすいのは、第三者が見ても違和感のない価格です。極端な値引きは避け、成約事例と鑑定根拠をそろえるのが効果的です。自己資金の投入割合も見られます。頭金ゼロで親族間売買を進めると、説明を求められることが多い。売買契約書、送金記録、価格根拠資料を事前に整えると、審査はかなり滑らかになります。私はこの準備を甘く見ないほうがいいと思います。

裁判例・判例から学ぶみなし贈与の判断ポイント

裁判例は、親族間で不動産売買するときの 適正価格を考えるうえでかなり参考になります。代表的な考え方は、価格が時価からどの程度乖離しているか、代金の授受が実在するか、当事者の関係が近すぎないか、という点です。たとえば、東京地判平成19年8月23日は、時価のおよそ80%であれば直ちに著しく低いとはいえないと判断しました。とはいえ、これは万能の免罪符ではありません。

判例の見方

  • 東京地判平成19年8月23日
    時価の80%程度でも、直ちに贈与認定とはされなかった事案。
  • 低額譲渡が問題となる他の事案
    実際の支払い実態や契約の整合性が重視され、形式だけの売買は不利になりやすい。
  • 裁判所の共通視点
    相場との差額、資金移動の実在、説明可能性がポイント。

判例は「80%なら安全」と言っているわけではありません。あくまで一つの目安です。立地、築年数、用途制限が重い物件では、80%基準でも説明が足りないことがあります。ここは慎重に。

親族間売買・価格設定(適正価格)間違いでのリスクと注意点

親族間売買には多くのメリットがありますが、同時にリスクや注意点も存在します。そのリスクのうちの最大値といえるのが適正価格設定のミスです。

まず第一に、価格設定が不適切であった場合、トラブルに発展することがあります。特に、相場よりも著しく低い価格での売買は、他の親族からの不満を招く恐れがあります。

また、信頼関係があるからこそ、不動産の価格設定についての理解不足や誤解が生じることもあるため、専門家に相談することをお勧めします。

さらに、税金や相続の観点からも注意が必要です。贈与税や譲渡所得税が絡む場合、事前に情報を収集し、適切な手続きを踏むことが重要です。親族間でのスムーズな取引を実現するためには、これらのリスクを理解し、適切に対処することが求められます。

みなし贈与のリスク

親族間で不動産を売買する際、みなし贈与のリスクについて理解しておくことが重要です。みなし贈与とは、実際の売買価格が適正価格よりも低い場合に、差額分が贈与とみなされることを指します。

たとえば、相場価格が1,000万円の物件を700万円で売買した場合、差額の300万円が贈与と見なされ、贈与税の対象となります。このような場合、売主だけでなく買主にも税負担が生じる可能性があるため、注意が必要です。

適切な価格設定や専門家への相談は、これらのリスクを軽減するために有効な手段となります。しっかりとした準備を行い、みなし贈与のリスクを減らすことが賢明な選択です。親族間でのトラブルを避け、円満な取引を実現するために、慎重に検討しましょう。

適正価格は専門家の意見を聞こう!

親族間売買を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、売買条件や価格について事前にしっかりと話し合うことが基盤となります。これにより、双方の考えを理解し合い、納得のいく合意形成が可能となります。

次に、専門家の意見を参考にすることも大切です。不動産業者や税理士に相談することで、適正価格の設定や税負担についてのアドバイスを受けられます。

最後に、契約書を事前に作成し、しっかりとサインを交わすことをお勧めします。口頭での約束は後々トラブルの元になるため、文書での確認が重要です。このように事前の準備を行うことで、円滑な売買が実現できるでしょう。

専門家に相談する場面と選び方(不動産会社・鑑定士・税理士)

価格の妥当性を見たいなら不動産会社、客観的な価格証明がほしいなら不動産鑑定士、税務リスクを整理したいなら税理士が向いています。
役割はかなり違います。
親族間 不動産売買 適正価格の判断では、誰に何を聞くかを分けるだけで迷いが減ります。相談時には、登記簿謄本、固定資産税評価証明書、間取り図、周辺相場の資料、売買の経緯メモを持参すると話が早いです。質問は「この価格で税務上の説明は通るか」「第三者に見せても不自然ではないか」と、遠回しにせず聞いたほうがいい。ここは曖昧にしないほうが得です。

詳細な価格設定の方法

詳細な価格設定を行うためには、まず周辺地域の不動産市場をリサーチすることが重要です。近隣で同様の物件がどのような価格で取引されているのか、実際の売買事例を参考にしましょう。

次に、物件の特性を細かく分析します。例えば、立地や面積、築年数、内部の状態などが価格に大きな影響を与えます。特に、リフォームや修繕が必要な場合、そのコストも考慮に入れるべきです。

また、適正価格を算出する際には、第三者の視点を重視します。不動産鑑定士や専門家による査定を受けることで、客観的な評価が得られ、適切な価格設定が実現可能です。これにより、双方の信頼関係の構築にもつながるでしょう。

みなし贈与を避けるための実務チェックリストと失敗事例

回避策は難しくありません。
まず相場を調べる。次に複数の査定を取る。必要なら鑑定評価まで進める。そして価格に合意し、書類を残す。この流れです。重要なのは、価格を下げないことではなく、下げるなら理由を残すことです。
売主の事情、修繕負担、長期空き家、境界未確定など、価格調整の理由は整理できます。実務は感情より記録。ここが分かれ目です。

実務で残すべきもの

価格決定の根拠メモ、第三者査定書、送金記録、売買契約書、物件資料、説明メール。これらは必ず残したいところです。支払方法は振込が基本で、現金手渡しは避けたほうがいい。あとで証明しにくいからです。低額売買の失敗例としては、相場2,500万円の物件を1,200万円で売り、差額の説明資料がなく、贈与税の指摘を受けるケースがあります。税額は数百万円に膨らむこともあります。怖いですが、珍しくないのです。

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チェックリスト(実務用・印刷できる形)
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以下をそのまま運用できる形にしています。書類ごとに□をチェックして、コピーを契約ファイルに綴じる想定です。

【親族間 不動産売買/適正価格 適合チェック】
□ 査定書(作成日・根拠・価格レンジの記載あり)
□ 価格決定メモ(なぜその価格か、理由が文章化)
□ メールやチャットの合意記
□ 売買契約書(物件表示・代金・特約が一致)
□ 重要事項説明書(関与がある場合)
□ 送金記録または振込記録(手付・中間・残代金が連続)・通帳コピー
□ 領収書(売買代金である旨、物件が特定)
□ 鑑定評価書(ある場合)または専門家の評価メモ
□ 登記関連書類(登記日・内容が整合)
□ 引渡確認書/鍵の受領書(ある場合)
□ 相続税路線価・固定資産税評価額の参照控え(固定資産税評価証明書)
□ 路線価図や近隣成約事例
□ 関連資料(境界、権利関係、賃貸状況の根拠)

手順化した実務フロー

ステップ1 事前調査として市場相場と税務評価を確認する
ステップ2 複数社査定で実勢価格をつかむ
ステップ3 必要に応じて不動産鑑定士へ依頼する
ステップ4 価格合意後に契約書、送金記録、根拠資料を保管する

この順番なら、後から説明できる形に整います。急いで契約するより、少し時間をかけたほうが結局は早いです。

典型的な失敗例

相場2,500万円の物件を1,200万円で売却したのに、理由を残していなかったケースは危険です。修繕費を加味した、親の介護事情があった、などの背景があっても、資料がなければ伝わりません。証拠のない低額売買は、かなり不利です。

専門家に相談するタイミングと選び方(不動産会社・鑑定士・税理士)

親族間売買は、相談先を分けると整理しやすいです。価格の妥当性は不動産会社、客観性の強い証明は不動産鑑定士、税務リスクの整理は税理士が向いています。相談すべき場面は、価格決定前、契約作成前、税務申告前です。この3回を押さえると事故が減ります。最初から全部一人で抱えるのは、正直おすすめしません。

不動産会社の査定(実勢価格)とその根拠

不動産会社の査定は、親族間売買で最初に当たりやすい方法です。複数社に査定を依頼すると、価格のブレが見えます。1社だけだと、その会社の方針や得意エリアに引っ張られることがあるからです。査定書には、類似物件、㎡単価、築年数補正、立地補正、成約事例の比較などが含まれるのが一般的です。数字の裏に何があるかを見ないと、ただの希望価格で終わります。実務では、3社程度は見たいところです。コピー

複数査定の見方

査定額が高い会社と低い会社が出たら、どちらが正しいかではなく、なぜ差が出たかを確認します。土地の形、前面道路、室内状態、リフォーム歴で評価は動きます。査定は万能ではありませんが、売買の出発点としては非常に使いやすいです。親族間売買では、査定書をそのまま税務資料にするというより、価格決定の根拠メモと組み合わせると強くなります。感覚で決めた印象を消せるのが大きいです。

不動産鑑定士による鑑定評価(鑑定評価の活用法)

鑑定評価は、客観性の高い価格証明がほしいときに有効です。不動産鑑定士が現地調査、資料確認、比較事例の分析を行い、鑑定評価書としてまとめます。取得の流れは、依頼、資料提出、現地確認、評価、報告です。費用は物件の規模や用途で変わりますが、簡易なものよりも数十万円単位になることがあります。安くはありません。それでも、税務や裁判で価格の根拠を強く残したいなら十分に価値があります。

鑑定評価が必要なケース

相続争いの可能性がある、共有者が多い、価格差が大きい、金融機関に強い説明が必要、といった場面では鑑定評価が有力です。とくに親族間売買で価格が相場から離れるなら、鑑定書があるだけで見え方はかなり違います。税務署や裁判所が必ず従うわけではありませんが、説明の背骨になります。私は、後で揉める可能性が少しでもあるなら、鑑定を検討したほうがいいと考えます。

相談フローと成果物

問い合わせ → 面談 → 見積 → 着手 → 報告、という流れが一般的です。不動産会社なら価格査定書、鑑定士なら鑑定評価書、税理士なら税務意見書や申告方針の整理が期待できます。費用は案件差がありますが、査定は比較的軽く、鑑定はやや高め、税務相談は内容次第です。成功事例は、事前相談で贈与税リスクを回避できたケース。失敗事例は、契約後に相談してやり直しが難しくなったケースです。順番が大事です。コピー

まとめ:適正価格決定のステップと推奨アクション

親族間売買では、適正価格の決め方を先に固めることが何より重要です。感覚で決めない。資料で決める。ここが基本です。コピー

要点の再確認

– 親族間売買は贈与対策や相続対策で使われる
– 安すぎる価格はみなし贈与のリスクがある
– 価格は市場調査、公的評価、鑑定、書面化で固める
– 80%目安は参考にできるが万能ではない
– 銀行融資では担保評価と説明資料が重視される
– 判例は「時価との差額」と「実態」を見ている
– 相談先は不動産会社、鑑定士、税理士で分けるとよい

次にやるべきことは明確です。まず書類を集める。次に専門家へ相談する。最後に契約を整える。この順番なら、かなり安全に進められます。

この記事の執筆者、監修者

この記事の執筆者

井上朝陽 宅地建物取引士、住宅ローン設計士、親族間売買上級アドバイザー
専修大学卒業後コーラル株式会社へ。不動産売買業務従事10年以上の間、総計売買数700件以上を担当し成約する。コーラル大阪店開設にあたり店長として赴任、大阪圏の売買経験も積む。現在は本店に戻りコーラル勤務当初から大学で学んできたマーケテイングの知識を生かし、コーラルのWEBマーケティング統括責任者も務める。
住宅ローン設計士として不動産の親族間売買時の住宅ローンアドバイス実績はすでに300件以上熟し、金融機関からの信頼も厚い。
親族間で不動産取引するにあたり住宅ローン取り付けをどうしたらいいのかをYouTube動画で多数解説する活動も行う。
弁護士、司法書士、行政書士などの士業の立ち上げた親族間の問題を解決するための組織、一般社団法人結い円滑支援機構の立ち上げにも参画し現在は幹事も務める。

この記事の監修者
 
石井雄二 宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、親族間売買上級アドバイザー
不動産業界歴25年以上の間、さまざまな不動産関連の仕事に従事する中で宅地建物取引士兼ファイナンシャルプランナーとして1500名以上の方に住宅ローンのアドバイスを行う。コーラルではとても取得が難しいといわれる親族間売買上級アドバイザーとして月間10件以上、総計500名以上に住宅ローンアドバイスと取り付けを行う。金融知識、相続、住宅ローン問題等幅広い知識と業務経験を武器に、より多くのお客様の「人生にお役に立つ不動産運用の専門家を目指したい」との思いからコーラル株式会社に参画。
親族間で不動産取引するにあたり住宅ローン取り付けをどうしたらいいのかをYouTube動画で多数解説する活動も行う。
弁護士、司法書士、行政書士などの士業の立ち上げた親族間の問題を解決するための組織、一般社団法人結い円滑支援機構の立ち上げにも参画し現在は理事も務める。

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