リバースモーゲージとは、自宅を担保にして金融機関から資金を借りる仕組みです。この制度は、高齢者に特に適しており、リタイアメント世代の方々が生活資金を確保する手段として注目されています。
リバースモーゲージのメリットは、自宅に住み続けながら資金を得ることができる点です。また、借り入れた金額は、通常亡くなった後や自宅を売却した時に返済されます。これにより、生活費や医療費の負担を軽減することが可能です。
一方、デメリットも存在します。例えば、不動産の価値が下がった場合、返済額が増加する可能性があります。また、自宅を担保にしているため、借入金が残っている間は相続が制限されることもあります。しっかりと調査し、自分のニーズに合った選択をすることが重要です。
リバースモーゲージは、自宅を担保にして資金を借りる制度で、特に高齢者に有用な資金調達手段です。自宅に住み続けることができ、生活費や医療費をまかなえる一方、借入金は亡くなった後または自宅売却時に返済されます。リバースモーゲージにはメリットがある一方で、不動産価値の変動によるリスクや相続問題が伴います。利用者は慎重に検討し、専門家の助言を得て、適切なプランを選ぶことが重要です。
リバースモーゲージの基礎知識(定義と通常ローンとの違い)
リバースモーゲージとは、持ち家を担保にして、毎月などで資金を受け取り、原則として借り主の死亡または所定の事由の発生時に一括返済する仕組みです。
この制度を理解するうえで、通常の住宅ローンと何が違うのかを押さえるのが最短ルートです。ここが曖昧だと、「返し方は同じだろう」と思い込んでしまいがち。私はこの勘違いが一番もったいないと思っています。結論から言うと、返済の始まり方、資金の性格、担保の見られ方が大きくズレています。
以下に主要な違いを整理します。
比較表:リバースモーゲージと通常の住宅ローン

項目
- 返済開始時期
- リバースモーゲージ:原則として借り主が亡くなった後など、返済が遅れて到来
- 通常の住宅ローン:借入直後から毎月返済が始まるのが一般的
- 返済方法の基本
- リバースモーゲージ:受取期間中は元金返済が不要(利息等は積み上がる形が多い)
- 通常の住宅ローン:元金と利息を分割して返す(元利均等・元金均等など)
- 借入の目的(資金の使いみち)
- リバースモーゲージ:生活費の補填など、使途が“生活資金寄り”になりやすい
- 通常の住宅ローン:住宅購入・借換・リフォームなど“住まいの取得・維持”に結びつくことが多い
- 担保の扱い(評価と実行の考え方)
- リバースモーゲージ:担保価値がベース。将来の返済原資や残債との関係が重視される
- 通常の住宅ローン:担保価値に加えて、返済能力(毎月返せるか)を重視する
- 借入の性格(お金をもらう/借りる感覚)
- リバースモーゲージ:金融機関から“受け取る”色合いが強い
- 通常の住宅ローン:金融機関から“借りる”色合いが強い
この違い、数字の話というより「設計思想」の違いです。通常ローンは、返済計画を毎月回していく前提で組み立てられる。リバースモーゲージは、返済が後ろ倒しになる分、担保と条件がより重要になる。そのため、制度の向き不向きがここから自然に見えてきます。
また、リバースモーゲージは“誰でも同じ条件”ではありません。金融機関や商品によって、利用対象となる年齢、担保にできる物件要件、受取方法(毎月受取・一時金など)、上限額、契約終了の条件が変わります。ここを確認せずに進めると、期待していた資金計画と現実がズレることがある。正直、そこだけは慎重になってほしいです。
次のセクションでは、仕組みをもう一段具体化して、受取〜利息の積み上がり〜返済・精算の流れまで整理していきます。
リバースモーゲージ ハウスリースバック との違い
リバースモーゲージとハウスリースバックは、どちらも高齢者の資産を利用した資金調達手段ですが、その仕組みには明確な違いがあります。
リバースモーゲージは、自宅を担保にして金融機関から資金を借りる方式です。借入金は、通常、亡くなった後に返済されるため、高齢者がそのまま自宅に住むことが可能です。自宅の居住権を維持しつつ資金を得られるため、生活の質を保ちながら資金確保ができるのが魅力です。
一方、ハウスリースバックは、自宅を不動産会社に売却し、その後も一定期間住むことができる仕組みです。つまり、所有権は移転しますが、居住権は残ります。こちらは、資金化のスピードが速く、即時に現金が手に入る一方で、自宅の所有権を失うことになります。
したがって、どちらの選択肢が適しているかは、個々の状況やライフスタイルによって異なるため、慎重に検討する必要があります。
リバースモーゲージの仕組み
リバースモーゲージの仕組みを一言で言うなら、「自宅を担保にして、毎月(あるいは一時金)を受け取る仕組み」です。通常の住宅ローンは“借りたら毎月返す”のが基本ですが、リバースモーゲージは“返すのは後回し”。その代わり、最終的に担保のある不動産を基に清算されます。ここが最大の違いで、理解できるかどうかで判断の精度が変わると思います。
まず大枠として、貸付は次の流れになります。自宅を担保にして金融機関が審査し、担保価値を見積もり、そこから融資限度額を決めます。その後、契約に基づいて資金を受け取り、条件に合致するタイミングで返済(または清算)へ進む形です。返済方法は複数あり、どれを選ぶかで、支払総額の見え方や家計への影響が変わります。
1)担保評価と融資限度額の算出基準
担保になるのは自宅です。実際の取引価格の“そのまま”ではなく、金融機関が安全側に見積もった評価額をもとにします。ここで重視されるのが築年数と物件の状態です。一般に築年数が進むほど評価は下がりやすく、同じエリアでも限度額に差が出ます。修繕状況や間取り、路線価や周辺の取引傾向も影響し、木造かRCかでも評価の振れ方が変わります。
イメージしやすいよう、簡単な計算例を置きます。たとえば自宅の評価額(金融機関の査定額)が3,000万円、金融機関が融資可能額を評価額の“60%”程度としているケースを考えます。3,000万円 × 0.6 = 1,800万円。これが目安の融資限度額になりやすいイメージです。もちろん実際は年齢や想定寿命、金利、保険の設計などで細かく変動します。
さらに、年齢が高いほど受け取れる期間は短くなる前提になりやすく、同じ物件でも限度額の考え方が変わることがあります。したがって「物件の価格が高い=必ずたくさん借りられる」とは限らない。私はここ、誤解が起きやすいポイントだと感じています。
2)受取方法:いつ、いくらもらうのか
受け取り方は大きく分けて、毎月の定期金として受け取るタイプと、一時金寄りのタイプがあります。毎月型だと生活費の補填に使いやすく、受取額が家計の設計に落とし込みやすい。反対に一時金型はまとまった費用に向きます。リフォーム、住み替え、教育資金の清算など、使いみちの色が出ます。
ただし受取額を増やすと、それだけ元本が早く積み上がり、利息の計算が進むため、将来の清算額にも影響します。受取額は“希望どおり”に見えて、実際には担保評価と返済方式がセットで決まっていくもの。ここを前提に考えると、後で「想定より増えた」というモヤモヤが減ります。
3)代表的な返済方法(清算のタイミングと影響)
リバースモーゲージの返済は、基本的に契約期間中に返済する設計ではなく、原則として死亡時や所定の条件を満たしたときに行われます。そのとき、元本と利息をまとめて精算する形です。ここが制度の“効きどころ”で、返済方法の違いが家計の体感に直結します。
(A)終身型(毎月受取、一定条件で継続)
終身型は、契約した人が亡くなるなど所定の事由が起きるまで、毎月(または一定頻度)で受け取る設計です。想定寿命にもとづく設計なので、長生きするほど受取総額が増えやすい。金融機関側の見通しと担保価値の範囲内で調整されるものの、最終的な精算額は利息の増え方に左右されます。
たとえば、融資限度額1,800万円のうち、毎月の受取設計が「毎月10万円、想定年数で設計」になっているケース。仮に受取が想定より長く続いた場合、利息も積み上がり、最終清算時の金額が膨らみやすくなります。終身型は安心感がある一方、リスクは“長期化”側に寄る。これが私の率直な見立てです。
(B)一括返済型(早い段階でまとめて返す設計)
一括返済型は、受け取った後に、ある時点で元本をまとめて返す(または清算する)設計です。たとえば一定期間の受取後、手元資金や別の資金で精算するイメージになります。利息負担は長期化しにくいので、終身型より総コストが読みやすいケースもあります。
ただ、ここで大事なのは「一括で返せる資金計画が必要」という点。生活費の補填として始めたのに、後から一括返済が厳しくなると、家計の綱引きが始まります。制度設計として一括が“安全”とは限らず、あなたがどんな資金を準備できるかで結果が変わります。
(C)利息のみ支払い型(元本返済は後回し)
利息のみ支払い型は、受取している期間に利息部分だけを支払う設計が多いです。元本は基本的に先送りされるため、毎月の返済額は終身型の“清算一括”とは別の形で発生します。つまり、現金支出が一定程度必要になります。その代わり、元本が積み上がり続ける設計より、最終清算の見え方が落ち着くことがあります。
簡単にイメージすると、たとえば元本として1,000万円相当を受け取っている状態で、年利が3%なら年間利息は30万円。毎月に換算して2.5万円程度という感覚です。実際は元本残高の変動や金利条件で変わりますが、“利息の支払いが毎月発生する”ことを家計に織り込めるかが鍵です。私はこのタイプを検討するなら、月々の固定支出として絶対に無理がないかを先に確認すべきだと思います。
4)小さな計算例:受取総額より「いつ清算されるか」
リバースモーゲージは、結局のところ最終清算で「元本+利息」がどうなるかが焦点です。例えば、融資相当が1,000万円で年利3%の世界を置くと、単純化した年間利息は30万円。仮に3年続けば90万円、5年続けば150万円というイメージになります。利息計算はもっと複雑ですが、考え方は同じです。
つまり、返済方法によって「利息がどれだけ長く積み上がるか」が変わります。終身型は利息が長く続く可能性、利息のみ型は毎月の支出負担、そして一括返済型は返せる時期が最大のポイント。どれが正解というより、生活の形に合わせて選ぶのが現実的です。
まとめ:仕組みを押さえると、メリット・デメリットの輪郭が見える
担保評価は築年数や物件状態で下がりやすく、融資限度額に直結します。受取方法は毎月の生活費補填向けと、一時金寄りで使いみちが変わる。返済方法は、終身型・一括返済型・利息のみ支払い型で、利息の積み上がり方や家計への出方が変わります。
次のセクションでは、これらの違いを踏まえて、リバースモーゲージのメリット・デメリットを“比較しやすい形”で整理していきます。あなたの状況に照らしたとき、どの返済方式が現実的か。その判断材料として読んでください。
リバースモーゲージのメリット
リバースモーゲージのメリットは、単に「現金が手に入る」という一点だけではありません。住み慣れた家に住み続けながら、生活の時間軸に合わせて資金を確保できる点が大きいと感じています。しかも、通常の住宅ローンのように毎月の返済負担が中心になりにくい仕組みです。ここが、利用を検討する人の意思決定を後押しするところでしょう。
まず挙げたいのは、資金調達の柔軟性です。リバースモーゲージは、基本的に「持ち家」を担保にして融資を受けます。受け取り方は一括だけでなく、毎月の定額や一定期間の支払いとして設計されるケースもあります。例えば、年金だけでは家計が苦しいものの、預貯金は取り崩したくない家庭なら、毎月の受け取りで光熱費や食費、医療費の不足を埋めやすくなります。さらに、介護が近づいてきた場面で、デイサービスの費用や自宅改修費用に段階的に充当できるのは実務上かなり助かるはずです。
加えて、「住み続けられる」ことの意味は想像以上に大きいです。住宅の売却や住み替えを伴うと、生活環境の変化がストレスになります。リバースモーゲージなら、原則として住み慣れた自宅に継続居住する前提で設計されることが多く、当面の暮らしを崩さずに資金を用意できます。私なら、この“家を失わない安心感”はお金以上の価値だと思います。
次に、税制面・相続面での利点を、できるだけ誤解が少ない形で触れておきます。税金は個別事情で扱いが変わるため断定は避けますが、少なくとも「生活のために資金を用意する仕組み」として運用できる余地があります。例えば、受け取った資金の使途が生活費や医療費のように日常支出に向かう場合、家計の資金繰りが整い、結果として相続直前の慌てた売却や、資産のバタバタした処分を減らせる可能性があります。家を売ってしまえばそこで終わり、ではない。だからこそ、家と生活を両立させたい人にとって相性が良いといえます。
相続についてはさらに注意が必要で、ここも「メリット」と「整理すべき点」が表裏一体です。一般に、リバースモーゲージは借入金が増えていき、最終的に相続の場面で清算されます。そのため、遺産として残るのは「プラスの財産」だけではなく、「住宅の価値と借入残高の差」になりやすいです。遺産評価の考え方としては、住宅の評価と、借入金があることで相続財産の見え方が変わる可能性があります。つまり、相続税の計算や申告の段取りも、通常の相続とは同じ感覚で進めない方が安全です。
ただ、メリットとして語れるのはここです。生前に利用計画を立て、家族と資金の目的や返済の流れを共有しておけば、相続のときの揉め事を減らせることがあります。例えば「この資金は通院費用のため」「将来の介護費の見込みも踏まえてこの設計」と説明できるだけで、受け取る側の納得感が変わります。相続は気持ちの問題でもあるので、事前の合意形成は強い武器になり得ます。
なお、制度によって細部は異なりますが、ポイントは一つにまとまります。リバースモーゲージは、現金化の“目的”を生活の継続に置ける仕組みです。さらに、その目的に合わせて資金の受け取り方を設計しやすい商品設計が多い。だから、家計の谷を埋めたい人には価値が生まれます。
ここまでがメリットの全体像です。次のセクションでは、返済方法や条件、リスク面まで踏み込みます。メリットが大きいからこそ、デメリットも同じくらい重要になるのがリバースモーゲージの特徴だと私は考えています。
リバースモーゲージのデメリット
リバースモーゲージは「老後の住まいを担保に、毎月または一時金を受け取る」仕組みです。だからこそ、毎月の収入は増えても、リスクは毎月確実に近づきます。ここでは“困る場面”を具体例で想像しながら、どこを確認すべきかを整理します。正直に言うと、リスクが見えないまま契約すると、後から選択肢が狭くなりがちです。
まず押さえたいのが金利変動のリスクです。リバースモーゲージは返済が基本的に「死亡または所定の事由発生時」になります。そのため、返済額は借入時点では確定せず、金利の上り下りがそのまま残高に効きます。たとえば、当初の金利が低い前提で契約したのに、数年後に金利が上昇。残高が増える速度が想定より速くなり、最終的に担保評価額を上回る可能性が高まります。対策は、金利のタイプと見通しを契約前に固めること。変動金利なのか、固定部分があるのか、金利上昇時の上限や見直し頻度はどうなっているのか。さらに、金利上昇シナリオでの返済額目安を試算できるかも確認したいポイントです。
次に、担保価値下落(評価減)のリスクです。リバースモーゲージの最終的な精算は、担保の売却や評価に連動するため、不動産価格が下がる局面に弱い構造があります。たとえば、地方で高齢化が進み、周辺の取引価格が下落。売りに出しても買い手がつきにくい。結果として売却益が想定より小さくなり、借入残高との差が埋まらないケースがあります。ここで重要になるのが、担保評価の考え方と算定時期、売却方法のルールです。契約条項で「評価の基準(時価か、鑑定か)」「評価時期(いつ時点で見られるか)」「売却を誰がどのように行うか(任意売却か、指定業者か)」を確認してください。加えて、地域特性や将来的な流動性まで見て判断するのが現実的です。私は正直、担保が“必ず売れる”前提で組むのは危険だと思います。
返済リスクも避けて通れません。返済はすぐ来ないとしても、所定の事由が起きたときに一気に精算へ向かいます。想定しやすい例が、早期死亡のケースです。たとえば、契約から数年で相続発生。まだ借入残高が大きくなり切っていないはずなのに、費用(利息以外の手数料、保険料、管理費など)が積み上がり、差額が発生することがあります。さらに、売却を求められるケースも現実的です。転居や建物の事情で所定の条件を満たせず、担保を外す流れになった場合、契約期間の途中でも精算が発生する可能性があります。この場合、時間がない売却判断になりやすい。したがって、契約条項で「途中解約時の扱い」「居住継続の条件」「売却・住み替えをしたときの扱い」「必要書類や手続きに猶予があるか」を必ず確認してください。
相続人負担(差額請求)のリスクも、家族にとっては切実です。仕組みの詳細は商品によって違いがあり、担保で不足した場合に相続人へ請求が及ぶ設計もあります。たとえば、担保評価が下がって残高との差が大きくなると、相続人が「住まいは残したいが、差額を用意できない」という板挟みに陥ります。ここは“本人の意思”だけで完結しません。対策は二段構えです。第一に、契約書の条項で「不足額が誰に帰属するか(相続人へ請求されるのか、事業者側で吸収されるのか)」「請求の上限や免責の範囲」「請求手続きの流れ」を確認すること。第二に、家族に先に説明し、資金手当の現実性を話し合うことです。個人的な感想になりますが、ここを後回しにすると感情的な摩擦が起きやすいと感じます。
また、保険・制度面のリスクとして、建物関連のリスクも押さえる必要があります。火災や災害で建物の価値が落ちると、担保価値に影響します。さらに、商品によっては保険の加入が条件になっていたり、保険金の扱いが精算に絡むことがあります。そのため、保険の種類(火災保険なのか、その他の特約があるのか)、被保険者や受取人(誰が保険金を受け取るのか)、免責事由(対象外になる条件)は契約書と重要事項説明書で確認してください。加えて、メンテナンス義務や修繕基準が定められている場合もあります。ここを怠ると、居住条件が見直され、結果的に精算や条件変更へ繋がりかねません。
では、回避策を「何を確認すればいいか」に落とします。まずは金利です。上昇局面でも残高が膨らみ過ぎない設計か、金利見直しの頻度はどうか、上限の有無はどうか。次に担保です。評価の基準、評価時期、売却の進め方と費用負担を条項で確認。さらに精算条件です。死亡だけでなく、住み替え、解約、重大な契約違反に該当するケースがどう扱われるか。最後に“不足が出たとき”です。相続人への請求の可能性、上限、免責の有無。ここは曖昧な理解でいると危険です。
「リバースモーゲージが向いているか」は、リスク耐性で決まる部分が大きいです。金利上昇と不動産価格下落が同時に起きても耐えられるか、家族が不足分を負担する現実性があるか、住み続けられる条件を満たせるか。逆に言えば、これらを言語化して確認できない人には、私は慎重に検討してほしいと思います。契約する前に、必ず見積もりと条項を突き合わせてください。ここを丁寧にやるほど、後悔の確率が下がります。
利用条件・融資限度と審査基準
リバースモーゲージは「持ち家の価値を、将来に向けて資金化する」仕組みです。だからこそ、利用条件がかなり細かい。ここでは年齢要件、住宅の条件、融資限度や期間、担保や保証人の扱いまで、実務的な見え方に寄せて整理します。
まず最初に確認したいのが年齢要件です。多くの金融機関や制度設計では、申込時点で一定の年齢以上であることが求められます。一般的にはおおむね60歳以上が目安になりやすく、さらに“契約期間の満了時に必要な年齢条件を満たすこと”もチェックされます。つまり、年齢が条件の中心。書類上は軽く見える項目ですが、ここで落ちるケースは実際にあります。正直、同じ家でも年齢が合わないと話が進みません。要注意です。
次に住宅の条件。対象は基本的に自宅として居住している持ち家で、購入済みの土地付き一戸建てやマンションなどが中心になります。借地権や賃貸住宅は原則として対象外になりやすいです。建物の状態も重要で、耐震性や劣化の度合いが評価に直結します。耐震基準を満たすこと、または一定のリフォームや補強が必要になることがあり得ます。築年数が古い場合、融資を受けられても金額が抑えられる印象を持っておくと安全です。
住宅の評価方法も、利用可否と融資額に影響します。家の“いくらで売れるか”というより、「担保としての評価」と「将来の処分可能性」を見られるイメージです。土地は比較的評価に反映されやすい一方、建物は経年で価値が落ちやすい。したがって、同じエリアでも建物の状態によって融資限度が変わります。ここはシビアで、評価が低ければ受け取れる資金も減ります。そのため、査定前にリフォーム履歴や修繕状況を整理しておくと、後の印象が変わることがあります。
融資限度額は「住宅の評価額×一定の割合」をベースに、そこに年齢や支給方式、金利などを組み合わせて決まることが多いです。言い方を変えると、限度額は上限の“目安”であり、実際の判定で動きます。目安としては、住宅評価額の数割〜半分程度に収まるケースが多いと言われますが、金融機関や商品ごとに幅があります。さらに、返済が実質的に将来に回る構造のため、年齢が高いほど支給期間が短くなりやすく、総額の見え方が変わることもあります。自分の希望額があるなら、まずは「評価がどこまで乗るか」「その上で支給方式がどう効くか」を確認するのが近道です。
融資期間も条件の一部として審査されます。多くの場合、契約期間は“借主の年齢に連動する終期”で設計されます。終身型のような考え方を持つ商品もありますが、少なくとも“いつまでに満了となるか”は必ず定められています。期間が短くなる設計だと、受け取り方は月額でも一時金でも変化しやすい。ここは希望の生活設計に直結します。高齢ほど受け取る期間は短くなりやすいので、資金計画は早めに組み立てた方が安心です。
保証人の扱いは、商品によって色が出ます。リバースモーゲージは担保評価に重きを置くため、通常の住宅ローンのように保証人を一律で求めない設計のこともあります。その一方で、条件次第では連帯保証人が必要になるケースがあります。たとえば、融資が大きい場合や、審査上のリスクが高いと判断された場合です。逆に、保証人が不要でも、家の手入れや居住要件など“別の約束”が増えることがあります。保証人の有無だけでなく、契約上の義務事項の中身まで確認してください。
担保は原則として「住宅そのもの」です。担保設定が前提になり、抵当権が設定される形が一般的です。したがって、抵当権を設定できる状態であること、他の権利関係が整理されていることが重要になります。すでに住宅ローンが残っている場合、整理が必要なことがあります。ここは実務上の分岐点で、残債の状況によってスケジュールや条件が変わりやすいです。私はここが一番見落とされやすいと感じています。申込が通っても、担保関係の整理で止まることがあるためです。
さらに、日常的な条件として居住要件が絡みます。基本は本人が居住することが前提になります。施設入所や長期不在など、居住状況が変わると契約条件の見直しや手続きが発生する可能性がある。これも審査基準に含まれることが多いです。そのため、将来の生活の変化を想定し、どんな状態で契約がどうなるのかまで“言葉にして”確認しておくのが大切です。
住宅評価や融資限度に影響する点をまとめると、年齢、住宅の種別、建物の劣化状況、耐震性、そして担保設定のしやすさが軸になります。加えて、金利や支給方式によって総額の見え方が動く。だから、条件の詳細は「自分の家でいくらまで可能か」を左右する材料です。
次のセクションでは、審査でよく見られるポイント(収入や信用情報の扱い、必要書類の考え方)や、利用後に条件変更が起きた場合の注意点へつなげていきます。自分が対象になりそうかを判断するために、今の年齢と住宅の状態を基準に、まず当てはまる項目から確認してください。
利用方法と資金使途の具体例
リバースモーゲージで受け取る資金は、決まった使い道が一律に指定されているわけではありません。だからこそ「何に使うか」で向き不向きがはっきり分かれます。生活の穴埋めとして現金が必要になるケース、まとまった出費が近づいているケース。ここで制度の性格が効いてきます。返済は基本的に“毎月の支払いを抑えやすい”仕組みなので、短期で大きな現金需要をどう捌くかが焦点になるのです。
まず代表的な資金使途を見ていきましょう。使い道ごとに、得られやすいメリットと注意点をセットで整理します。
1つ目は生活費の補填です。年金だけでは家計が厳しく、光熱費や食費、介護サービスの自己負担などが先に立つ。こういう状況では、毎月の支出を現金で受け止められるのが強みになります。利用者本人の体感としては「将来の不安が減った」「暮らしが回りやすくなった」という声も多いところです。注意点もあります。受け取った資金を生活費の“穴埋め”に寄せるほど、長期化したときの残高管理が重要になります。使い切って終わりではなく、どのくらいの期間、どの程度のペースで資金が減っていくのかを冷静に見積もる必要があるのです。
2つ目は医療費・介護費の支払いです。通院、入院、差額ベッド代、薬代、介護用品、施設の費用。突発ではじまりやすい支出で、貯金の余力が削られていきます。ここでは「必要なタイミングで現金化できる」点がメリットになります。特に制度の利用開始から支払いが始まるまでの流れが安定している商品設計だと、心理的にも助かる印象です。一方で注意したいのは、支出が長引いた場合の総額です。医療や介護は読みにくい。したがって、見込み額を低めに設定すると足りなくなるリスクがあります。さらに、医療費控除など他の制度の活用可能性も一度確認しておくと、同じ資金でも効果が伸びます。
3つ目はリフォームや住宅改修です。手すり設置、段差解消、浴室の安全対策、耐震補強、屋根や外壁の修繕など。住み慣れた家を長く安全に使うための投資は、家計にとって“将来の出費を予防する”意味も持ちます。リバースモーゲージの場合、こうした目的で資金を使うと、生活の継続性が上がります。私はこの使い道は比較的相性が良いと思っています。暮らしの質が落ちにくいからです。注意点は、工事内容と見積もりの妥当性。大規模修繕になるほど費用は膨らみます。先に言っておくと、見積もりが甘いと資金計画が崩れて、結果的に家計が苦しくなることがあります。工期、支払い条件、追加費用の有無まで詰めておくのが現実的です。
4つ目は借金返済(住宅ローンの残債や教育ローン、クレジット等)です。複数の支払いが重なり、毎月のキャッシュフローが詰まっている人には魅力的に見えます。月々の返済負担が軽くなるので、家計の“詰まり”が解消される可能性があるのです。ここがはっきりメリットになります。ただし注意点も強めです。借金返済に使う場合、残債の条件によっては金利や手数料の比較が必要になります。繰上返済に伴う制約や、完済までのスケジュールが絡むこともある。したがって、「返済できた後の生活設計」までセットで考えないと、借金の形が変わっただけになりかねません。さらに、繰上返済を行うタイミング次第で手続きが複雑になる商品もあるので、事前に金融機関へ確認が必須です。
5つ目は住み替えに近い用途(リースバック等との切り分けが必要)です。リバースモーゲージは基本的に“住み続ける”発想が中心です。とはいえ、資金使途が結果として住み替え準備に近づくことはあります。たとえば当面の生活費を確保しつつ、将来的な住み替えや施設入居の準備をする、という考え方です。この使い道は状況によっては合理的です。ただ、ここは類似商品との違いを見誤ると失敗しやすい領域。住宅リースバックは売却して賃料を払う形になりやすく、家計への影響が別物になります。したがって「住み続けるのか、賃貸化するのか、将来の出口をどうするのか」を先に整理してから資金の使いみちを決めるのが大切です。
ここまでの5例を踏まえると、利用目的による向き不向きはかなり明確です。短期で現金が必要な生活費や医療費は、リバースモーゲージの“効きどころ”に合います。一方で、事業投資のように回収見込みが不確かな使い方は慎重にした方がいいでしょう。制度の強みは家計の安定にあります。リスクを取って増やす設計ではありません。私はそこを勘違いすると危ないと感じます。
また、資金使途が決まっていても、注意点は「資金が足りなくなるタイミング」と「返済の発生タイミング」です。支払いを抑えやすい仕組みでも、最終的には不動産の売却で精算することになるため、家の価値や売却環境が前提になります。生活費に回すほど長期化しやすいので、想定よりも長生きした場合の減り方もシミュレーションしておきたいところです。
最後に、用途別の整理として次のように考えると判断が速くなります。生活費や医療・介護は「守りの出費」で相性が良い。リフォームは「住み続けるための整備」で意味がある。借金返済は家計の詰まり解消にはなるが、金利条件や返済設計を詰めないと危うい。住み替え寄りの用途は、制度の設計意図とズレやすいので、住宅リースバックなど類似手段と同時に検討するのが安全です。
必要なら、次のセクションでは「利用目的×向いている人・向いていない人」をもう一段具体化して、類似制度との違いも踏まえた判断の軸をまとめます。
リバースモーゲージに関する注意点
リバースモーゲージとは何か?を理解したら、次に押さえたいのが「似ているけれど中身が別物」な制度です。住宅リースバックやリバース型住宅ローンは、どちらも“自宅を活用して資金を得る”方向性が似ています。けれども、所有権がどうなるのか、住み続けられる期間がどう決まるのか、受け取るお金が一括か分割か。ここが決定的な差になります。私は、名前が似ている商品ほど誤解が起きやすいと思っています。
まず押さえるべき違いは大きく3つです。所有権。住み続け可否。資金受取方法。これを軸に見ると、同じ“老後の資金作り”でも、リスクの性質が変わります。そのため比較表で整理しておくのが一番早いです。
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比較表:リバースモーゲージと類似商品(住宅リースバック/リバース型住宅ローン)
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| 観点 | リバースモーゲージ | 住宅リースバック | リバース型住宅ローン |
|---|---|---|---|
| 所有権 | 原則、利用者が保有したまま進む(制度設計により詳細差あり) | 通常は利用者が自宅を売却し、不動産の所有権が事業者側へ移る | 原則、利用者が保有したまま(住宅ローンの枠組みで処理) |
| 住み続け可否 | 一定の条件を満たす限り、自宅に住み続ける設計 | 賃貸契約として住む。契約条件(賃料、期間、更新等)に依存 | 基本は住み続ける前提。ただし契約条件と返済方式に左右される |
| 資金受取方法 | 一時金または分割など(商品・設計で異なる) | 売却代金として一括が中心になりやすい | 一時金・分割の形をとることがある(商品設計次第) |
| 返済の実態 | 原則、利用者の死亡等や所定の事由発生時に清算される設計が多い | 売却しているため、一般には「ローン返済」という形ではない(売買代金で資金化) | 毎月返済が不要・または軽減される設計があり、清算は後回しになる場合が多い |
| 資金用途の目安 | 生活費、住み替え、既存ローンの整理などに使われることが多い | 売却益を自由に使えることが多い(ただし契約条件や税務注意) | 使途が限定される場合がある。住宅関連や生活資金など、商品次第 |
| 主な“注意点” | 金利・評価額の変動、利用条件、清算時の負担、対象外になるケース | 賃料の上昇リスク、契約更新・解約の可能性、売却価格の納得感 | 金利や将来清算の前提、返済方式の理解不足による家計負担 |
ここで重要なのは、「違い=どれが良いか」ではなく、「自分の生活設計に合うリスクを選べるか」という点です。正直、比較せずに“雰囲気”で選ぶと、後からギャップに気づきます。私はそのパターンを何度も見てきました。
以下、違いをもう少し言葉で補足します。
リバースモーゲージは、住み慣れた家に住みながら資金を受け取り、清算が後のほうに寄る設計のものが多いです。所有権の扱いがポイントになりやすく、住む権利の前提も「賃貸借」ではなく、制度条件として整理されることが目立ちます。したがって、生活の基盤を崩さずに資金計画を立てたい人には相性が出やすいです。
住宅リースバックは、自宅を売却して現金化し、その後は賃貸として住み続ける形になります。所有権は売却で移ります。ここが精神的にも実務的にも大きい。賃料がどう推移するのか、契約更新や解約の条件がどうなっているのかで、住み続けられる安心感が変わります。私は、資金を早く確保したい一方で、賃貸条件のチェックを面倒がらない人に向くと思っています。
リバース型住宅ローンは、名前の通り住宅ローンの文脈で“返済を後ろに寄せる”発想のものが多いです。住み続ける前提になっているケースが多いものの、実際には金利、清算タイミング、担保や契約条件の理解が必須になります。ここを曖昧にすると、将来の負担イメージがズレます。したがって、商品説明の数字を自分の状況に当てはめられる人が強いです。
最後に、どのニーズに向くかを短くまとめます。
リバースモーゲージは、住み続けることを大切にしつつ、後の清算で資金を受け取りたい人に向きやすいです。住宅リースバックは、一括で資金を作りたい、しかも売却代金を活用する運用まで前向きに考えられる人向けです。リバース型住宅ローンは、ローンの枠組みを理解し、金利や将来清算の条件を飲み込んだうえで、返済負担を軽くしたい人に合います。
次の段落では、ここまでの違いを踏まえて「どんな人が向いていて、どんな人は避けたほうがいいのか」を、より具体的に整理していきます。
契約前のチェックポイントと家族への説明ポイント
リバースモーゲージは「契約して終わり」ではありません。むしろ契約前の数日で、将来の負担や家族の手続きが大きく決まります。よくあるのが、重要事項を“なんとなく理解したつもり”で読み飛ばしてしまうパターン。ここは面倒でも、必ず手元で確認していきましょう。
契約前のチェックポイント(確認すべき事項)
1)契約条項:利率と返済の設計図を読む
まず、利率の考え方が自分の条件でどう効くかを確認します。変動型なのか、固定型なのか、また将来の見直し幅がどれくらいか。さらに、返済方法が「いつ・誰が・どう返すのか」を具体的に書面で追うことが大切です。リバースモーゲージは一般の住宅ローンと違い、基本的に毎月返済がない設計が多い一方、支払義務が発生するタイミングは契約ごとに細かく決まっています。
加えて、受け取り方も要注意です。一括か、毎月の定期金か、あるいは併用か。受け取りの形で、将来の残債の見え方が変わります。定期金型を選ぶなら、収入の使い道まで“返済がない期間の設計”として考えておくと安心です。
2)解約条件:早期にやめたときの費用を把握する
次に確認したいのは解約・繰上げの扱いです。できるのか、できるとしてどんな条件か。解約した場合の違約金や手数料、抵当権や登記関連のコストがどの程度か。ここが曖昧だと、想定外の支出が発生しやすくなります。私は、解約条件だけは“数字で”見ておくべきだと思っています。文章の雰囲気で判断すると、後から腹落ちしないことが多いからです。
3)相続時の扱い:残債が家族にどう引き継がれるか
リバースモーゲージの肝は、最終的に残債が清算される流れです。相続が起きたとき、どのように清算するのか、相続人が何をすることになるのか。残債が上回るケースで、家族が負担する可能性があるのかも確認します。
ここは“自分だけの問題”にしないでください。相続人の手続き負担、期限、必要書類、清算方法の選択肢。さらに重要なのは、「清算の結果、手元に残る財産がどの程度になり得るか」を現実的な数字で見積もることです。制度上の上限や、評価額の反映のされ方も要チェックになります。
4)税務確認:受け取り方と清算時の税のズレ
税金は見落とされがちです。受け取るお金が、所得税上どの扱いになるのか。贈与と見なされない設計になっているか。清算が行われた後の税務はどうなるのか。ここは金融機関の説明だけで完結せず、税理士や所轄の専門家に確認するのが安全です。そのための費用が数万円かかっても、誤解によるリスクのほうが大きいことが多いです。
また、自治体の制度や他の控除との関係も、場合によって影響します。条件が絡むタイプなので、自分の状況を前提に質問したほうが早いです。
5)対象物件・前提条件:適用の可否が最大の分岧点
最後に、対象になる住宅の条件です。居住用としての要件、担保評価の前提、建物の状態、権利関係。さらに、利用期間中の要件変更や、契約更新の考え方。想定よりも早く対象外になる条件がないか、これも確認したいところです。加えて、住み続ける前提があるなら、将来の住み替えや施設入所のときに契約がどう扱われるかも重要です。
家族への説明ポイント(伝えるべき要点チェック)
家族への説明は、トラブル回避のための儀式だと思うと気が楽になります。暗い話に聞こえるかもしれませんが、先に情報を共有しておけば、いざというときに迷いが減ります。
チェックしておきたい要点は次の通りです。
・この制度で「毎月の返済は基本ない」設計であること。代わりに、残債がいつ確定し、どのタイミングで清算が必要になるのかを共有します。
・受け取る金額の見込みと、利率や評価の変動で残債が増え得る点。家族が数字を把握していれば、感情的な不安が減ります。
・契約内容の中で、解約時の費用と手続きがどうなっているか。急な状況でも判断できるように、連絡先と手順を渡しておくと良いです。
・相続時の残債の扱い。相続人が負担し得るケース、負担が不要になり得る条件、書類作成の流れ。ここは“詰め込みすぎない”より、“曖昧さを潰す”ほうが親切だと感じます。
・税務の見解。受け取ったお金や清算の扱いで、一般論ではなく自分の契約タイプに即した確認をしているかを伝えます。税金はケース差が出るので、専門家に相談した事実だけでも共有する価値があります。
・契約書・重要書類の保管場所と、家族がアクセスする方法。さらに、金融機関や司法書士など関係者の連絡先も同封しておきましょう。
最後に、伝える順番も工夫するとスムーズです。まず「仕組みといつ残債が問題になるか」を説明し、その後で「解約・相続・税務」を話す。逆順にすると、印象が重くなりすぎます。私はこの順が一番理解されやすいと思っています。
必要なら、次のステップとして「自分の契約内容に沿った質問リスト(金融機関に確認する文言例)」も作れます。現在検討中のプランがあれば、利率タイプ(固定/変動)、受け取り方法(毎月/一括/併用)、解約条項の記載が分かる範囲で教えてください。そこに合わせて、チェック項目をより具体に書き換えます。
こんな人にリバースモーゲージがおすすめ
リバースモーゲージとは何かを理解したら、次は「自分に合うかどうか」ですよね。結論から言うと、向いている人は“老後資金の確保”を主目的にして、なおかつ将来の住まい方まで見通せる人です。逆に、相性が悪い人もはっきりいます。ここを曖昧にしたまま契約すると、得られるはずだった安心が崩れます。私はこの手の制度は、向き不向きがはっきり出るタイプだと思っています。
まず前提として、リバースモーゲージは「自宅(不動産)を担保に、借主が死亡などのタイミングで精算する」仕組みが中心です。毎月返済がゼロまたは軽い設計になりやすい一方、残債は増え続ける可能性があります。だからこそ、判断基準は“今の資金繰り”だけでなく、“将来の精算・住み続ける前提”まで含めるのが肝になります。
向いているか・向かないか(ケース別)
1)ライフステージで見る適性
向いている可能性が高いのは、老後に入り、年金中心の生活で現金が足りない人です。特に「毎月の支払いを増やしたくない」「持ち家はあるが、資金化できていない」という状況だと相性が良いことが多いです。老後の医療費や介護費、引っ越し費用、住宅の修繕など、“まとまる可能性がある出費”に備える目的とも噛み合います。
一方で、現役世代で収入が安定しており、かつ通常の住宅ローン控除や団信なども含めて最適化できる人には、必ずしも選ぶ理由が薄いです。なぜなら、リバースモーゲージは「精算のタイミングが先の仕組み」なので、総コストや条件の影響を受けやすいからです。早期に住み替え予定が強いケースも、判断を誤りやすい部類です。
2)財務状況で見る適性
向いているケースは、「毎月のキャッシュフローが苦しくても、生活の破綻はしていない」人です。年金受給などで一定の支払い原資はある。だからこそ、毎月返済の負担が軽い設計を“助け”として使えます。
逆に、すでに家計が厳しく、税金や保険、管理費など基本コストの支払いがギリギリの人は要注意です。制度の返済が軽くても、管理費・修繕費・固定資産税などが別でかかります。さらに、担保価値の下振れや契約条件によっては、想定よりもリスクが大きく見えることもあります。私は「家計の土台が崩れているなら、まず土台を立て直してから」という考え方が安全だと思います。
3)住まい方の前提で見る適性
向いているのは、基本的にその家に住み続ける前提が置ける人です。長期間住む予定があり、将来的に売却や住み替えを“しないとは言い切れない”くらいなら、まだ判断の余地があります。ただし、転勤、介護施設への移行、相続の事情で住み替えがほぼ確実な場合は、適合性が下がります。
向かないのは、「近いうちに確実に引っ越す」あるいは「近い将来、住み続けられない可能性が高い」ケースです。リバースモーゲージは、契約上の精算や条件が絡みやすく、途中で予定が変わると選択肢が狭くなりがちです。
4)資金使途で見る適性
適している使いみちは、老後の生活を底上げする用途、まとまって起きやすい支出への充当です。たとえば、医療・介護の自己負担、リフォーム、生活費の補填、住まいの維持に必要な費用など。こういう“目的がはっきりしている支出”は納得感も作りやすいです。
逆に、短期で回収の見込みが立たない投機的な用途には向きません。リバースモーゲージで得た資金を使う先が、将来の収支と噛み合わないと、精神的にも家計的にも苦しくなります。ここは強く言っておきたいところです。
簡易フローチャート(YES/NOで判断)
次のチェックで、YESが多いほど適性は高め、NOが多いほど慎重度が上がります。全部が絶対条件ではありませんが、判断の地図にはなります。
Step1:今後、住み続ける可能性は高いか?
YES → 次へ
NO → 向かない可能性が高い(途中精算や条件面で不利になりやすい)
Step2:毎月の生活費に加えて、税金・保険・管理費など“別の支払い”は無理なく払えるか?
YES → 次へ
NO → 向かない可能性(支払いが重なるリスクが現実化しやすい)
Step3:資金の使いみちは、老後の生活や住まいの維持に近いか?
YES → 次へ
NO → 向かない可能性(目的がズレると後悔しやすい)
Step4:精算までの流れ(残債増加、条件、将来の状況)を、家族も含めて理解できているか?
YES → 次へ
NO → 向かない可能性(相続や負担の話が揉めやすい)
Step5:代替案(売却、通常のリバース以外のローン、住宅リースバック、賃貸化など)も比較したか?
YES → 選択の質が上がる
NO → まだ決めないほうがいい(比較不足は損になりやすい)
チェック項目(自分が該当するか確認)
最後に、判断ミスを減らすための現実チェックです。「契約条件を読めているか」よりも、生活の設計として考えられているかを見てください。
・家の名義や相続の前提に、家族が納得しているか
・毎月の支払いが増えないことに依存しすぎていないか
・担保価値が下がった場合の影響を想定しているか
・将来的な住み替えや介護のタイミングを、最低限シミュレーションしたか
・資金使途が、生活の安定に直結しているか(使った後に後悔しにくいか)
向いているケース/向かないケース(対比)
向いているケースは、「老後の現金不足を、住み続ける前提で補いたい」「毎月返済の負担増は避けたい」「資金使途が生活・住まい維持に直結している」「家族と精算や将来像の話ができている」です。ここが揃うと、制度は“家計の呼吸を楽にする道具”になりやすいと感じます。
向かないケースは、「近いうちに住み替える確率が高い」「税金や管理費などがすでに重い」「投機的な使い方をする予定がある」「将来の精算や相続の理解が曖昧」です。条件の細部が自分の生活設計と噛み合わないと、得られたはずのメリットより、負担や不安が目立ちやすくなります。
次にやること(自分判定を確定させる)
ここまでの判断基準を使って、自分が“YES寄りか、NO寄りか”を仮置きしてください。その上で、類似制度である住宅リースバックや、リバースモーゲージ型住宅ローンとの違いも含めて比較すると、納得度が上がります。リバースモーゲージは便利な場面があるぶん、比較して初めて本当の答えに近づく制度だと思います。
よければ、あなたの状況(年齢層、収入の内訳、住み続ける見込み、資金使途、家族構成)を教えてください。上のチェック項目に沿って、向いている/向かないの方向性を一緒に整理できます。
リバースモーゲージの将来展望
リバースモーゲージの将来展望は、ひとことで言えば「高齢化の進行と、制度設計の揺れ」が同時に進む領域だと考えるのが分かりやすいです。今後も高齢者の住居コストや生活費の不足を埋めたい需要は根強く、供給側も“選べる手段”として商品を工夫してくるはずです。実際、今まさに老後資金の確保を意識する人が増えていますから、将来の利用者数は横ばいではなく、緩やかに増える方向で見ておくと安心です。
一方で、市場の中身は単純に右肩上がりになりません。金利環境、住宅価格の動き、長生きリスクの捉え方で、事業者の収益設計や審査の厳しさが変わるからです。これ、利用者側にとっては“商品が同じに見えても、中身は年度ごとに変わり得る”ということになります。私は「今の条件だけ見て決めるのは危ない」と感じています。特に不動産市況が悪化した局面では、評価額の見直しや契約条件の取り扱いがシビアになる可能性を意識したほうがいいです。
さらに、将来を左右しやすいのが制度改正や規制の動きです。リバースモーゲージは、住宅ローンの延長線というより、資金の出し方と回収の仕組みが特徴的です。そのため、返済原資が不動産売却に依存する点や、資金使途の整理、トラブル防止の観点でルールが更新される余地があります。たとえば、説明義務の強化、商品類型の再整理、手数料や上限の見直しなどが起きると、利用判断の前提が変わります。そのため、契約時だけでなく「今後の改定リスク」を確認しておく姿勢が重要です。制度は“後から急に優しくなる”とは限りません。むしろ、無理のある設計が広がると是正が入ることもあります。
新商品にも注目したいところです。最近の流れとしては、従来のリバースモーゲージをベースにしつつ、返済負担や選択肢を分かりやすくした商品、住宅の状況に応じた条件設定、資金の受け取り方を柔軟にした設計が増えやすいです。加えて、住宅リースバックやリバースモーゲージ型住宅ローンのような“近いコンセプトの類似商品”も同じ市場で競争します。競争が起きると、利用者にとっては良い方向に進むこともある反面、制度の境界がややこしくなる面もあります。ここは、名称で決めず「回収のタイミング」「返済の発生条件」「担保評価の扱い」を読み比べるのが近道です。
そのため将来リスクを見積もるなら、少なくとも次の観点をセットで持っておくと現実的です。住宅価格が下がった場合に、受け取れる資金がどれほど縮むのか。受け取り期間や増減のルールが、途中の状況変化でどうなるのか。さらに、制度や商品が改定された場合に、自分の契約がどの範囲で影響を受けるのか。加えて、要介護状態になったとき、亡くなられた後の手続きがどう進むのか。これらを“契約書の数字”として確かめることが、将来の後悔を減らします。私は、資料請求の時点で疑問点をそのままぶつけて、回答のスピードと具体性を見たほうがいいと思っています。口調が丁寧でも、肝心の条件が曖昧だと危険です。
最後にまとめると、リバースモーゲージは需要が伸びる可能性が高い一方、制度改正と市場変動の影響を強く受ける仕組みです。だからこそ将来展望では「伸びる理由」と「崩れ得るポイント」を両方押さえる必要があります。あなたが検討する段階でも、いまの条件だけで判断せず、将来の変更可能性まで想像しておく。その態度が、納得できる選択につながります。
まとめ
リバースモーゲージとは何か?要点は「住み続けながら、持ち家の資産を元手に毎月などの資金を受け取れる仕組み」で、通常の住宅ローンの“毎月返済して完済”とは逆の発想になります。仕組みは基本的に、元本や利息の返済は契約終了時(多くは死亡や一定の条件達成時)にまとめて精算する形。メリットは資金繰りの改善と返済負担の軽さで、家計の見通しが立てやすい一方、デメリットは返済が将来に回る分だけ“家を残す設計”が難しくなるリスク、金利・制度条件・不動産価格の影響、そして要件を外れると見直しや不利益が起こり得る点です。したがって、自分が向いているかは「どんな費用に充てたいか」「いつまで住む前提か」「家をどう扱いたいか」を基準に判断すべきだと私は思います。
次のアクションは3つだけで十分です。まずは専門家(金融機関の担当やFP、法律・不動産に強い相談先)に当てて、返済タイミングと条件を“自分のケース”で確認してください。次に家族会議で、資金使途(介護費用、リフォーム、住み替え資金の前倒しなど)と、将来の精算時に起こり得る負担の覚悟を共有します。最後に概算シミュレーションを行い、リバースモーゲージ型住宅ローンや住宅リースバックとも比較して、同じ目的を別の手段で達成できる余地まで確かめるのが近道です。
この記事の執筆者、監修者
この記事の執筆者
井上朝陽 宅地建物取引士、住宅ローン設計士、親族間売買上級アドバイザー
専修大学卒業後コーラル株式会社へ。不動産売買業務従事10年以上の間、総計売買数700件以上を担当し成約する。コーラル大阪店開設にあたり店長として赴任、大阪圏の売買経験も積む。現在は本店に戻りコーラル勤務当初から大学で学んできたマーケテイングの知識を生かし、コーラルのWEBマーケティング統括責任者も務める。
住宅ローン設計士として不動産の親族間売買時の住宅ローンアドバイス実績はすでに300件以上熟し、金融機関からの信頼も厚い。
親族間で不動産取引するにあたり住宅ローン取り付けをどうしたらいいのかをYouTube動画で多数解説する活動も行う。
弁護士、司法書士、行政書士などの士業の立ち上げた親族間の問題を解決するための組織、一般社団法人結い円滑支援機構の立ち上げにも参画し現在は幹事も務める。
この記事の監修者
石井雄二 宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、親族間売買上級アドバイザー
不動産業界歴25年以上の間、さまざまな不動産関連の仕事に従事する中で宅地建物取引士兼ファイナンシャルプランナーとして1500名以上の方に住宅ローンのアドバイスを行う。コーラルではとても取得が難しいといわれる親族間売買上級アドバイザーとして月間10件以上、総計500名以上に住宅ローンアドバイスと取り付けを行う。金融知識、相続、住宅ローン問題等幅広い知識と業務経験を武器に、より多くのお客様の「人生にお役に立つ不動産運用の専門家を目指したい」との思いからコーラル株式会社に参画。
親族間で不動産取引するにあたり住宅ローン取り付けをどうしたらいいのかをYouTube動画で多数解説する活動も行う。
弁護士、司法書士、行政書士などの士業の立ち上げた親族間の問題を解決するための組織、一般社団法人結い円滑支援機構の立ち上げにも参画し現在は理事も務める。




