「PB・プライベートクレジット→高額マンション→一般マンション」という経路を、現在の金利・東京マンション市場のデータと組み合わせると、今後のシナリオはかなり整理できます。
私の見方を先に言うと、
2026~2027年の東京マンション市場は、「一斉暴落」よりも、まず高額・投資性の強い物件から調整し、その後に一般中古マンションへ波及する「時間差型の調整」になる可能性が高い
と考えます。
ただし、PB市場のストレスが世界的な信用収縮に発展した場合は、話が変わります。
現在は「暴落前夜」なのか?
私は、現時点では**「暴落前夜」と断定する段階ではない**と考えています。
一方で、警戒すべき材料は確実に増えています。
特に、
- プライベートクレジットの信用ストレス
- 世界的な金利上昇
- 日本の金利上昇
- 東京マンションの高価格化
- 売出価格と成約価格の乖離
- 成約件数の減少
- 在庫増加
が同時に存在しています。
米国のプライベートクレジットでは、主要BDCのノンアクルーアル比率が2026年Q2に2.8%まで上昇し、2017年以来の高水準となっています。
つまり、
「金融市場側からの圧力」
と
「不動産市場側の価格調整圧力」
が同時に存在しているわけです。
私が想定する「2026年型不動産ショック」
平成バブルの場合は、
株価
↓
土地
↓
銀行融資
↓
企業
↓
不動産
という金融システム全体の信用収縮でした。
ところが今回想定している経路は少し違います。
2026年型
株価・債券
↓
PB・ファンド
↓
プライベートクレジット
↓
富裕層・投資家のリスク許容度低下
↓
高額マンション・投資用不動産
↓
東京23区の高額中古
↓
一般中古マンション
という流れです。
この違いは非常に重要です。
最初に危ないのは「一般庶民向けマンション」ではない
ここは誤解されやすいところです。
もし金融ショックが発生した場合、最初に影響を受けやすいのは、
高額物件・投資性の高い物件
だと考えます。
例えば、
- 超高額タワーマンション
- 投資用マンション
- 富裕層向け物件
- セカンドハウス
- 海外投資家の購入比率が高い物件
- キャピタルゲイン期待で買われた物件
です。
なぜなら、ここでは、
「住むために絶対必要だから買う」
という需要より、
「資産として持つ」「値上がりするから買う」
という需要の比率が高いからです。
金融市場が不安定になると、まずこの需要が弱くなります。
第一段階:高額マンションの調整(2026年8月時点でここ)
最初に起こる可能性があるのは、
価格暴落ではなく「売れなくなること」
です。
例えば、
売主:
「1億5,000万円で売りたい」
買主:
「1億2,000万円なら買う」
↓
成約しない。
すると、
売出価格は高いまま
↓
在庫期間が長くなる
↓
値下げ物件が増える
↓
成約価格だけ徐々に下がる
という現象が起きます。
これは、現在すでに見えている
「売出価格=エベレスト」
「成約価格=キリマンジャロ」
という現象の延長線上にあります。
第二段階:「ワニの口」が閉じ始める
現在の市場で最も重要な指標は、私は価格そのものより、
売出価格
と
成約価格
の差だと思います。
今は、
売主の期待価格 >> 買主の支払える価格
となっています。
金融ショックが起きると、
高額物件から、
売出価格↓
成約価格↓
となり、
やがて、
在庫↓
成約件数↓
という変化が出ます。
ここで重要なのは、
「価格が下がった=暴落」ではない
ということです。
むしろ最初は、
成約件数が減る
↓
在庫が増える
↓
値引きが増える
という順番で市場が弱くなる可能性があります。
第三段階:一般中古マンションへ波及
ここからが本当に重要です。
高額マンションの価格調整が始まっても、
最初は一般的なファミリータイプには大きな影響が出ない可能性があります。
なぜなら、
「投資商品」
と
「生活必需品としての住宅」
では需要の性質が違うからです。
しかし、
高額マンション価格下落
↓
富裕層の不動産投資縮小
↓
不動産会社の仕入れ縮小
↓
中古市場の価格交渉拡大
↓
買主の「待てば安くなる」という期待
↓
一般中古にも価格交渉
という流れになると、
一般中古マンションにも波及
します。
さらに怖いのが「金利」です
現在、日本では日銀の政策金利が1%まで上昇しています。
しかも2026年9月会合で追加利上げが行われるとの観測が強まっており、市場では1.25%への引き上げが意識されています。
住宅ローン金利にも既に影響が出ています。
例えば2026年8月のフラット35は、
3.29%
まで上昇しています。
これは住宅購入者の購買力を確実に圧迫します。
金利上昇は「二方向」からマンションを攻撃する
ここが重要です。
購入者側
金利↑
↓
住宅ローン返済額↑
↓
借りられる金額↓
↓
購入可能価格↓
↓
中古マンション価格に下押し圧力
一方で、
投資家側
金利↑
↓
借入コスト↑
↓
投資利回り悪化
↓
投資家撤退
↓
不動産需要↓
となります。
つまり、
金利上昇は「実需」と「投資需要」の両方を弱くする
可能性があります。
ただし「東京23区だけは別」という可能性も高い
ここが今回の予測で非常に重要です。
東京23区は、
- 人口・世帯の集中
- 高所得者
- 外国人
- 大企業
- 再開発
- 住宅供給制約
などがあります。
実際、2026年の首都圏新築マンション供給は増加が予想される一方、東京23区の供給は約5.9%減少して約8,000戸となる見通しです。土地取得の難しさが背景にあります。
したがって、
金融ショック=東京マンション暴落
とは限りません。
むしろ、
供給が少ないため、価格が下がる前に「成約件数が大きく減る」
可能性があります。
私の予測を3つのシナリオにすると
今後2~3年を考えるなら、私は次の3シナリオで見ます。
| シナリオ | 確率感 | 東京マンション |
|---|---|---|
| A:ソフトランディング | ★★★★☆ | 高値圏維持~緩やかな調整 |
| B:金融ショック型 | ★★☆☆☆ | 高額物件から10~20%程度の調整 |
| C:リーマン級信用収縮 | ★☆☆☆☆ | 広範囲で20~30%超の調整も |
※これは市場の方向性を考えるための私のシナリオ分析であり、価格下落率を保証する予測ではありません。
私が最も可能性が高いと見る「A」
現時点では、「暴落しない。しかし上昇もしにくくなる」というシナリオを最も重く見ます。
つまり、
2026年
高値圏
↓
2027年
横ばい~緩やかな下落
↓
2028年
物件によって明暗が大きく分かれる
というイメージです。
特に、
「東京23区全体が下落する」
より、
「同じ23区の中でも物件によって価格差が拡大する」
可能性が高いと考えます。
「逆K字型」がさらに進む可能性
私は今後のマンション市場を、
上
都心・駅近・築浅・高品質・希少性
↓
価格維持
または
緩やかな上昇
下
郊外・駅遠・築古・管理状態の悪い物件
↓
価格下落
という、
「逆K字型」
で考えるのが分かりやすいと思います。
そして金融ショックが発生すると、
この二極化がさらに激しくなる可能性があります。
一番危険なのは「価格」ではなく「流動性」
ここは平成バブルとの比較でも非常に重要です。
例えば、
1億円のマンション
が、
9,000万円
になったとしても、
買い手がいれば市場は機能しています。
しかし、
1億円→9,000万円→8,000万円
となっても、
誰も買わない
なら、実質的にはもっと深刻です。
だから今後見るべきなのは、
「いくらで売り出されているか」ではなく、「いくらで、何日で、何件売れているか」
です。
特に注目すべき5つの指標
今後、東京マンション市場を追うなら私はこの5つを毎月チェックします。
① 成約㎡単価
下落開始を確認。
② 新規登録㎡単価
売主の期待価格を確認。
③ 在庫㎡単価
市場に残っている価格水準を確認。
④ 成約件数
実際の需要の強さを確認。
⑤ 在庫件数
売れ残りの増加を確認。
そして、
売出価格↑
+
在庫↑
+
成約件数↓
+
成約価格↓
が同時に起きたら、かなり警戒します。
さらに「PB問題」が重なったらどうなるか
ここが今回の本題です。
もし今後、
① 株価急落
↓
② 富裕層・PBのリスク回避
↓
③ PE・プライベートクレジットの資金流出
↓
④ 不動産ファンドの投資縮小
↓
⑤ 高額マンションの買い手減少
↓
⑥ 高額マンション価格調整
↓
⑦ 一般中古マンションへ波及
という経路が発生すると、
2026年型の「新しい不動産調整」
になる可能性があります。
現在、プライベートクレジットではデフォルト、評価損、投資家からの資金流出が増えており、金融市場との接続が警戒されています。
ただし、現時点で規制当局がリーマン級のシステミック危機を認定しているわけではありません。
私の「2026~2028年」予測
かなり簡単に図式化すると、
2026年後半
🟢 高値圏維持
🟡 高額物件の成約鈍化
🟡 在庫増加
🟡 金利上昇
↓
2027年
🟡 高額マンションの価格調整
🟡 投資用不動産の弱含み
🟠 売出価格と成約価格の乖離縮小
🟠 一般中古にも価格交渉拡大
↓
2028年
🔵 二極化がさらに明確化
「資産価値のあるマンション」
と
「単に高いだけのマンション」
の差が大きくなる。
――という展開を基本シナリオとします。
そして「リーマン級」になる条件
私は、ここを最も警戒します。
次の4つが同時発生したら、シナリオAからB、さらにCへ移ります。
① 米国株・信用市場の急落
↓
② PB・プライベートクレジットで大量損失
↓
③ 銀行・保険会社へ信用不安が波及
↓
④ 世界的な信用収縮
ここまで来ると、
「東京マンションだけの問題」
ではなくなります。
この場合は、現在の「逆K字型」から、
一時的に市場全体が下方向へ動く
可能性があります。
結論
私の現時点での予測を一言で言えば、
「東京マンション市場は、平成バブルのような一斉崩壊よりも、まず“高額・投資性物件の流動性低下→成約価格下落→一般中古へ波及”という時間差型の調整になる可能性が高い」
です。
そして、現在はすでに、
金利上昇
高価格
売出価格と成約価格の乖離
在庫増加
という条件が重なっています。
一方で、東京23区は供給制約と実需が強いため、「東京のマンションが全部半値になる」というような単純なシナリオは、現時点では支持しにくいです。東京23区の新築供給が2026年に減少見込みなのも、価格下支え要因です。
むしろ私は、
「暴落するか、しないか」ではなく、
「どのマンションから、どの順番で価格調整が始まるのか」
を見るべき局面だと考えます。
「東京23区16区別に、①PB・富裕層資金への依存度、②生産年齢人口、③中古マンション在庫、④成約価格、⑤金利上昇耐性」から、2027~2030年に強い区・危ない区をランキング化すると、かなり実戦的な予測ができます。




